on stage. (ページ16)

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制服に袖を通して打刻をするまで、いつの間にやらすっかり手慣れてしまったものだなと思う。
本当は普段は裏方なんだけど、レジ担当の後輩が消えてしまったのでレジに立つことになる。仕事自体はもう把握しているから、戸惑うこともほぼない。
ただ、忙しい。その一言に尽きる。
この時間帯は学生がまあ多いわけで、捌く速度が遅いとすぐ列になってしまう。
それが私のバイト先。忙しいくせに人手不足の、有名チェーンのコーヒーショップ。

今日は無駄に波が引けるのに思ったより時間もかかって、落ち着いてきた頃には閉店時間も間近になっていた。居座っていた学生もほぼ帰っていて、店内は閑散としている。
学校との両立には向いてない…と、思う。でも、毎日廃棄になる軽食やスイーツを貰えるとか、まかないみたいな感じでコーヒー飲んで帰れたりとか、そういうのはやっぱり嬉しい。それに、店長は別に悪い人じゃない。人手不足で常に忙しいだけで。いつも申し訳なさそうにしてる店長を見てると申し訳なくて、なんだかんだ辞められずにいる。

そろそろレジ締め…と思った矢先に、扉に着いたベルがカランと鳴った。誰だ、こんな閉店ギリギリに。こういう客苦手だなぁ、なんて若干思いつつも顔を上げる。

「いらっしゃいま…せ……？」
「ふは、間抜けな顔してる」

スマホを片手に入店してきた高校生。
私を見て笑っていたのは、京本大我、その人だった。

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