on stage. (ページ12)

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行事は山ほど控えている。が、驚くほど何の変哲もない学生生活を過している。
実習を終えて以降も彼ら6人とはそれなりに絡む機会はあった。正確に言うならば、絡まれる機会があった、だが。
今日だってそうだ。

「ね～え！いいじゃんか！」
「良いか悪いかじゃなくて、教えられないって言ってるんですよ…」
「Aちゃんのいけず！」
「教えるほどの頭がないんだって何回言えば分かるんですか！」

定期考査前、樹に非常に面倒な絡みをされている。考査前だから勉強を教えてほしい、という端的な頼み事ではあったが、実は別に頭は良くない。中の上くらいの成績が取れればいいくらいの頭で他人に教えてる余裕は全然ない。だいたい、自分でもわかってないものは何も教えられないんだから勘弁してくれ。

「俺ら6人じゃ限度あるんだよ…」
「じゃあもっと頭いい人捕まえてください」
「三人寄れば文殊の知恵って言うじゃん！」
「良く知ってるじゃないですか。2倍いるんだから頑張ってくださいよ」
「ねえ頼むってば！あいつらにAちゃん来るって言っちゃった！」
「なんで確定前に報告しちゃうんですか！？捕まらなかったって言っといてくださいよ！」
「ただお勉強会だと思って！ね！」

うだうだ粘られると流石に考えもする。可哀想に見えてきた…というのが正直な理由だけど。

「…じゃあ今回だけですよ」
「え！マジ！？あんがと！！！」

どうせ勉強にならないんだろうな、と。内心溜息をつきながら思った。
周囲は驚く程に何も触れてきやしない。例えばドラマみたいに、取り巻きの女の子にいじめられたりとかはないし、悪女に仕立て上げられたりもしない。無関心。というか、事前の評判通り、近寄り難いイメージが強いから関わりにもわざわざ来ないんだろう。

少しばかり憂鬱な気持ちを抱えながら、ぼんやり窓の外を眺めた。長く長く、飛行機雲が伸びていた。