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第二十七話 ページ30

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大切な時間程、流れるように経過するもので。


御客人が屋敷を訪ねた翌日に、
父様と鶴と三条邸へ報告に行った

随分とお歳を召された三条殿は
いつものように俺の刀身を見た後たった一言、

「お前なら、大丈夫だ」

そう仰った

その一言に溢れる程の想いが込められていることを
悟り、その言葉を噛み締めた


三条派の五振は報告した時に、
阿鼻叫喚という言葉が似合う位に混乱していた

岩融や石切丸は驚いていたものの、
片方は豪快に笑い、片方は優しく微笑み
頑張れ、と声を掛けてくれた

大変だったのは後の三振と鶴だ

今剣は声を上げて泣き、それにつられたように
鶴も俺にしがみついてぼろぼろと涙を流し始める

いつもの朗らかな微笑みを消した三日月は
小狐を連れて俺の父様に直談判しようとし、
石切丸が必死で止めてくれていた

事態を収拾するにはかなりの時間を要し、
漸く落ち着いた頃には各々が疲れきっていた

麗しい顔を歪める三日月、小狐、今剣
そして少し呆れたように笑う岩融と石切丸

五振それぞれを強く抱き締めて感謝と愛を述べ、
そして再び出逢うことを誓い合った




その次の日は、屋敷でいつも通り、
父様と鶴とゆったりとした和やかな時間を過ごした

花札や百人一首をしたり、舞を披露したりなど、
随分と楽しい時間だった

父様に習い始めた頃よりずっと上達した俺の舞を
見て、父様も鶴も褒めちぎってくれたことが
とても嬉しく、心に残っている

その日の晩は、鶴がまだ幼かった頃のように、
同じ布団でたくさん語り合いながら眠りに就いた

あの年の紅葉は一段と美しかっただとか、
昔、裏庭を探索した時に見つけた狐の家族は
今頃元気だろうか、だとか

些細なことだけれどどれも至極幸せな思い出で
眠ってしまうことがとても勿体ないことのように
思える程だった

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赤ちゃん - この作品とても好きです大好きです!一生待ってます!!!!!!!!! (2022年8月4日 1時) (レス) id: cb168f6512 (このIDを非表示/違反報告)
鈴廻(プロフ) - 続編待ってます! (2022年7月9日 19時) (レス) @page32 id: 55af1cd0b0 (このIDを非表示/違反報告)
如月こもも(プロフ) - もう5年経っているのか…未だに続編待ってます…! (2022年2月21日 8時) (レス) @page32 id: 8278e6452f (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 続編待ってます! (2021年4月29日 12時) (レス) id: c90e4aee72 (このIDを非表示/違反報告)
飯綱 - とても面白かったです!続編お待ちしております! (2020年4月16日 22時) (レス) id: b25493a2a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅もち x他1人 | 作成日時:2017年4月23日 20時

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