第二十四話 ページ27
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初雪の日から数日が経った
相変わらずの寒空だが今日も鶴は天真爛漫だ
「兄様！見てくれ、大きな蟇蛙だ！
だがなぁ、ぴくりとも動かないんだ」
『冬眠しているからだよ、鶴
可哀想だから元の場所へ返しておいで』
「ああ！」
頬に付いた土を指で拭ってやりながら言うと
鶴は目を細めた後に元気に返事をして、
再び庭へと駆け出して行った
その様子を縁側に腰掛けて微笑ましく見守り、
何気なく長い廊下へ目を向けると
客室から父様と御客人が出てくるのが見えた
御客人は随分と身なりの良い男性だ
何処かの名家の方だろうか
御客人を玄関まで見送った父様は、踵を返して
真っ直ぐに俺の元へと歩み寄る
俺を生み出してくれた時よりずっと皺が増え、
威厳を増したその表情は、やけに固く見えた
「蝶丸、話がある
私の部屋へおいで」
『…ああ。
鶴や、少し父様と話をしてくる
やんちゃも程々にな』
「おう、分かってるぜ！」
＿＿＿＿＿＿＿＿
場所を父様の自室へと変え、
父様と向き合うように姿勢を正して座る
胸騒ぎをぐっと押し込み、口を開いた
『父様…話とは』
「…この話は先程の御客人、そしてお前に関係する話だ」
『…単刀直入に言ってほしい』
「＿＿＿御客人が、お前を貰い受けたいそうだ」
貰い受ける、それは即ち、俺がこの屋敷を離れ
自身の主を持つということだ
それは俺達刀にとって当然のことであり、
また名誉なことでもある
そもそも刀というものは人間に使われる為に
打たれるのであって、俺のように十数年以上も
刀鍛冶の元へある方が可笑しな話なのだ
今はまだ三条邸に居るあの五振も、
いずれは主を持つだろう
鶴だって同じだ
俺も例外でなく、この話だって断るつもりはない
主を持ち、人間に振るわれることが
俺達【刀】の使命であるからだ
ただ、
『そう、か…
御客人は、いつ俺を貰い受けてくださると？』
「…三日後。三日後の昼下がり頃だ」
『三日…鶴には、俺の方から話しておくよ』
「…ああ」
あまりにも、唐突じゃないか。
どうやら俺が愛しい家族と共に居られる時間は
もう僅かしかないらしい。
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赤ちゃん - この作品とても好きです大好きです！一生待ってます！！！！！！！！！ (2022年8月4日 1時) (
レス) id: cb168f6512 (このIDを非表示/違反報告)
鈴廻(プロフ) - 続編待ってます！ (2022年7月9日 19時) (レス) @page32 id: 55af1cd0b0 (このIDを非表示/違反報告)
如月こもも(プロフ) - もう5年経っているのか…未だに続編待ってます…！ (2022年2月21日 8時) (レス) @page32 id: 8278e6452f (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 続編待ってます！ (2021年4月29日 12時) (レス) id: c90e4aee72 (このIDを非表示/違反報告)
飯綱 - とても面白かったです！続編お待ちしております！ (2020年4月16日 22時) (レス) id: b25493a2a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅もち x他1人 | 作成日時：2017年4月23日 20時
