第十八話 ページ19
「お蝶、お蝶！今度は僕と遊んでくださいよ！」
小狐の髪結が終わるやいなや、俺の羽織の袖を
持って揺らす今剣
今剣は構ってちゃんで、遊んでほしい時は
今のようにしながら輝かしい笑顔でねだる
その笑顔が愛らしいので、俺もついつい
一緒になって遊ぶのだ
『ああ、良いよ
して、何をして遊ぶのかい？』
俺がそう聞くと、今剣は丸い瞳を細めて
妖しく笑いながら唇を動かした
「久しぶりに＿＿＿＿【鬼追い】、しましょう？」
その言葉を聞いた途端に、空気がぴんと張り詰める
三条派に視線を向ければ、誰もが
興味深そうに口角を上げている
斯く言う俺も、楽しげに笑っているのだろう
『ほう...鬼追いか、本当に久しぶりだ
手加減など、致した方が良いかな？』
「それは此方のセリフです
羽をもがれて地に屈するのは貴方ですよ」
俺が羽織を脱ぎながら煽るようにそう聞くと、
今剣は豪奢な防具をがちゃりと畳に落として
鼻で笑うように言葉を綴った
『鬼追いをするなら裏山へ行こうか』
「ふふ、そうですね」
「再び其方等の鬼追いが見られるとは
何とも喜ばしい...
どれ、この三日月が開戦の音頭を致そう」
腕に抱いていた鶴を小狐に受け渡した三日月は
扇を広げながらゆるりと立ち上がり、
にっこりと楽しそうに微笑んだ
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
三条派と俺、そして未だに寝続ける鶴を含めた
七振りは、場所を三条邸の裏山へと変えた
鬱蒼と茂る木々の近場にある手頃な岩に
石切丸達が座り、三日月は扇を広げ
その傍へ立っている
対して俺と今剣は、高い木々の上へ登っていた
不安定な枝を下駄で踏みしめながら
ちらりと横を見ると、離れた場所で今剣も
此方も見つめていた
その獲物を狩るような瞳に、ぞくりと武者震いが起きる
すぅ、と息を吸えば、やがて美しい三日月の声が響く
「鬼、今剣
天女、蝶丸国永」
膝を軽く曲げ、前を見据える
「＿＿＿＿これより、鬼追いを開戦する」
ぱちん、と扇の閉じた音と共に
俺は力強く宙へ舞った
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
【鬼追い】
鬼ごっこに近い。
捕まえる方が鬼、逃げる方が天女。
鬼が天女を捕まえれば、そこで鬼の勝ちとなる。
決められた時間内を逃げ切れば、天女の勝ち。
木の上で行い、地面へ落下した者は
強制的に負けとなる。
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赤ちゃん - この作品とても好きです大好きです！一生待ってます！！！！！！！！！ (2022年8月4日 1時) (
レス) id: cb168f6512 (このIDを非表示/違反報告)
鈴廻(プロフ) - 続編待ってます！ (2022年7月9日 19時) (レス) @page32 id: 55af1cd0b0 (このIDを非表示/違反報告)
如月こもも(プロフ) - もう5年経っているのか…未だに続編待ってます…！ (2022年2月21日 8時) (レス) @page32 id: 8278e6452f (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 続編待ってます！ (2021年4月29日 12時) (レス) id: c90e4aee72 (このIDを非表示/違反報告)
飯綱 - とても面白かったです！続編お待ちしております！ (2020年4月16日 22時) (レス) id: b25493a2a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅もち x他1人 | 作成日時：2017年4月23日 20時
