第十三話 ページ14
「やぁだ！っふぇ、に、さまぁ...！
いかな、で...ぅえっ、いやぁ...っ！」
『つ、鶴...父様、どうしよう...』
「ははは、」
笑って誤魔化さないで、父様。
「ふっ、う...、ひくっ」
『よしよし...』
俺の腰にしがみつく鶴を抱き上げ、
優しく背中を叩く
鶴はぼろぼろと涙を流したまま、
きつく俺に抱き着いた
『鶴...そんなに嫌かい？』
「やだぁ！いっちゃだめ！」
鶴は何をここまで泣きながら拒絶しているのかというと
『んー...でも、三条殿も三日月達も
待っているからなぁ...』
そう、今日は前々から約束していた、
三条殿の屋敷を訪れる日なのだ
三日月筆のお誘いの文を貰い、
なかなかに心待ちにしていた今日。
朝から不機嫌だった鶴は
俺に引っ付いて離れず、とうとう泣き出してしまった
『さて、どうしたものか...』
「にーさま...、
つるといっしょにいて？」
潤んだ丸い金色の瞳で此方を見つめる鶴。
首を小さく傾けて俺の羽織をきゅ、と掴む様は
天の使いの子かと見間違う程に愛らしい
胸の辺りがふわりと暖かくなって、
鶴を抱く腕に思わず力が篭った
愛い...
『と、父様...』
「はは...ほら、鶴丸。
あまり我儘を言ってはいけないよ
蝶丸も、そろそろ出発しないと
約束の時間に間に合わないよ
牛車は用意してあるから、先生の屋敷まで
送ってあげよう」
矢張り父の一言は強く、あれだけぐずっていた鶴も
眉を下げて小さく、はぁいと返事をした
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「さあ、着いた
私は用があるから、屋敷へ一度戻るよ
宵の頃に迎えに来るから、
それまで楽しんでおいで」
『ああ、ありがとう父様
では行ってくるよ...鶴？』
牛車に揺られて一時間程。
漸く三条殿の屋敷へ着いたので、
ゆっくりと腰をあげようとすると
鶴が背中へ飛びついて来た
矢張り寂しいのか...
『そうだなぁ...
鶴も一緒にお邪魔するかい？』
俺がそう言うと、ぴくりと肩を揺らして
顔を上げた鶴
その丸い瞳には、少しの期待と不安が入り混じっていた
「でも...あのひとたち、こわい...」
『皆、体格が良いからそう見えるのかもしれないね
実際は、心優しい者揃いだから
鶴も直ぐに馴染めるさ
さ、おいで
兄様と共に行こう』
「＿＿＿うん...！」
腕を広げて微笑んでみせると、鶴は
咲き誇る花にも負けないような
可愛らしい笑顔を見せた
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赤ちゃん - この作品とても好きです大好きです！一生待ってます！！！！！！！！！ (2022年8月4日 1時) (
レス) id: cb168f6512 (このIDを非表示/違反報告)
鈴廻(プロフ) - 続編待ってます！ (2022年7月9日 19時) (レス) @page32 id: 55af1cd0b0 (このIDを非表示/違反報告)
如月こもも(プロフ) - もう5年経っているのか…未だに続編待ってます…！ (2022年2月21日 8時) (レス) @page32 id: 8278e6452f (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 続編待ってます！ (2021年4月29日 12時) (レス) id: c90e4aee72 (このIDを非表示/違反報告)
飯綱 - とても面白かったです！続編お待ちしております！ (2020年4月16日 22時) (レス) id: b25493a2a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅もち x他1人 | 作成日時：2017年4月23日 20時
