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第十二話 ページ12

『____触るな』



鶴に触れようとした腕を強く睨み、
渾身の霊力を叩き付ける


幾ら、生まれて十数年の俺とも言えど、
全力で力をぶつけられれば
只では済まないだろう?


案の定、跳ね退いた半透明な腕はより一層、
透明へと近づいていた




『___この子は、何よりも愛おしい俺の弟だ


もしこの子に危害を加えるようなことがあれば




即刻、刺し違えてでも貴様等を消してやろうぞ』




声を低くし、そう告げれば
まるで機嫌を取るようにそろそろと頬を撫でる細い指

最早不快感しか感じないそれから
顔を背け、再び告げた


『...今後一切この子の前に姿を現すでないぞ

良いな


理解したのならば、早々に失せろ』


もう一度睨めば、音もなく溶けるようにして消えた腕達

悪霊ではないと思うが、鶴に関わるとなれば話は別。

兄として、弟に悪影響を及ぼすようなものは
斬り捨ててでも排除しなければならないのだ



「ん、ぅ...に、さま...?」

『...おや、起きたのかい、鶴』

「うん...にーさま、なにかあったの...?」


目を擦りながらそう聞いた鶴に、
少しどきりとした

そこまで大きな声は出していないつもりだったけど...


『否、何も無いよ。いつも通りだ
どうしてそう思ったんだい?』

内心を隠すようにして微笑んで言えば、
鶴はゆっくりと俺の頬に手を伸ばした


「だって...

にーさま、こわいおかおしてたもん...」


見透かすように俺を見詰める、
汚れを知らない黄金の瞳に
無意識に目を見開いた。


真逆、鶴がそこまで見ているとは...

俺もまだまだ、か。



『...案ずることは無い
少し考え事をしていただけだよ

さ、もうじき夜も更ける
部屋に戻ろう』


「わ、」


俺の腕の中で不思議そうに
俺を見詰める鶴の視線から逃れるように
鶴の額を肩に押し付けた




なぁ、鶴。

お前に本音を打ち明けるわけにはいかないんだよ



俺は、


常にお前の前に立ち、

お前の背中を押して正しい方へと導き、

そして、お前より強くあらなければならないのだ。


弱味を見せることは出来ないのさ。



兄として。




さて、いつまでその役割を担えるだろうか。


その時まで、



『お前は、この兄様が守るからね』


「?」





お前は、何も知らなくて良い。




.

蝶丸の設定と裏話(追記あり)→←第十一話 (微ホラー注意)



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赤ちゃん - この作品とても好きです大好きです!一生待ってます!!!!!!!!! (2022年8月4日 1時) (レス) id: cb168f6512 (このIDを非表示/違反報告)
鈴廻(プロフ) - 続編待ってます! (2022年7月9日 19時) (レス) @page32 id: 55af1cd0b0 (このIDを非表示/違反報告)
如月こもも(プロフ) - もう5年経っているのか…未だに続編待ってます…! (2022年2月21日 8時) (レス) @page32 id: 8278e6452f (このIDを非表示/違反報告)
白夜 - 続編待ってます! (2021年4月29日 12時) (レス) id: c90e4aee72 (このIDを非表示/違反報告)
飯綱 - とても面白かったです!続編お待ちしております! (2020年4月16日 22時) (レス) id: b25493a2a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅もち x他1人 | 作成日時:2017年4月23日 20時

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