【オリジナル】命短し恋せよ少年2

72.如月叶人2 ページ33

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｢……着替える時間が要らない人は良いですね｣

｢そんな顔しないでよー。可愛い顔が……ハッ、可愛いままだ！｣

｢何言ってるんですか？｣

｢まあまあ、今日も頑張ろ！ 劇終わればコンテストまでは自由だし｣

｢うっ、胃が……｣

｢僕は自由時間は〜……コンビニ店員なかおるんを見に行こうかな！？｣

｢ちょっと黙って下さい｣



冷ややかにそう言われて、如月は渋々自分の準備をし始める。着替えが終わり、体育館に入場するかと思いきや、彼は放送室に入った。

そしてマイクの前に座り、あるスイッチを押すと、全校中のスピーカーから、ピンポンパンポーンという音が鳴り響く。如月は、すうと息を吸った。



｢皆さん、おはようございます！ 生徒会長の如月です。早くも文化祭は、最終日となりました。今日も精一杯、楽しみましょう！！｣



それだけ言うと、如月はマイクの電源を切った。

そう、今日は文化祭最終日。三年生にとっては、学生生活最後の文化祭だ。ならば全力で盛り上げ、三年生も、勿論それ以外も、最高に楽しめたら良い。


もうここまで来てしまったのかと、如月はふと思った。自分が生徒会長に就任した日から、まだ一カ月くらいしか経ってない様に思える。少しは、成長できたのだろうか。


苦しい時ほど長く、楽しい時ほどあっという間。しかし結局は、全てが一瞬で終わってしまうのだと、如月は思う。

どれだけ長い時間この世に居たか、ではなく、短い時間でどれだけ楽しめたのか。

その考えを心に置いて、如月は生きていく。一度きりの今日が積み重なった、一度きりの人生。いつだって、楽しまなければ。



その思いを胸に、如月は体育館への道に、一歩踏み出した。

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