64.なんだかんだ仲良い ページ25
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騒がしい人込みを、流れに逆らって俺と木南は進む。
色んな部活、主に展示するものが無い運動部が屋台で食べ物を売っている。所々行列が出来ている中、俺達はそれらに見向きもしなかった。
｢ごめん急に呼び出して。今大丈夫だった？｣
｢ああ、別に全然。寧ろ助かった。今あんまり騒ぎたくなくて……｣
正直に今の気分を伝えると、木南はそっか、と言った。
入学してからずっと一緒に過ごしてきた木南のそばに居ると、心も少し落ち着いた気がする。元から人付き合いが悪いのもあって友達の少ない俺が今頼りにできるのは、木南くらいだ。
騒ぎたくない、という俺の気持ちを汲んでか、いつの間にか人の少ない裏庭──庭と言っても、芝生と数本の木があるだけだ──に来ていた。
俺達は木の根元に腰を下ろし、ふうと一息つく。空はよく晴れていた。
｢……で、わざわざ何の用だ？ シフトはいいのか？｣
｢うん、大丈夫。……柏木ってさ、兄弟居る？ 妹とか｣
｢え？ 兄弟？｣
｢そう｣
なんでいきなりそんな事を訊かれたのか不思議で仕方が無かったが、とりあえず答えた。
｢いや、一人っ子だけど……｣
｢そっか〜……だよねー｣
｢だよねーって何だよ。周りを見ない自分勝手な奴って言いたいのか？｣
｢違う違う！ てか、柏木の一人っ子に対するイメージってそんななの？｣
｢大体そうじゃないか？｣
｢少なくとも柏木を見る限りは違うよ｣
｢そうか？ お前は弟とか居そうだよな｣
｢えっ、なんでわかったの！｣
｢居そうだから｣
｢はは、何それ。そう、弟と姉ちゃんが居る｣
｢うわ真ん中か。大変だな｣
｢めっちゃ大変。寮快適過ぎ｣
｢まさかだからここ選んだんじゃないよな？｣
｢うーん、それもちょっとある｣
｢ははっ、まじか！ ……ってこんな事話す為に来たんじゃないだろ｣
そう突っ込むと、あっそうだった、と木南は笑った。まあ、今の会話でちょっと気分が楽になったからいいか。
すると、木南は俺から目を逸らし、俯いてしまった。そして、おずおずと話を切り出した。
｢……柏木ってさ、明日の女装コンクール出る？｣
｢は？ え、い、いや……｣
俺はここでやっと、木南の言いたいことがわかった。すっかり忘れてたけど、こいつ女装した俺に惚れてたんだっけ……？
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こめ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます！ひええ……勿体無いお言葉ありがとうございます:;(∩´＿`∩);:とても展開も更新も遅いのですが、頑張ろうと思います…！！ (2017年9月10日 22時) (
レス) id: 68f211f4d4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - 文章が綺麗でとても読みやすかったです。BL？は初めて読んだのですが、文のおかげで内容に入り込みやすかったです。この作品がとても好きなので、これからも更新頑張ってください！待ってます！ (2017年9月10日 21時) (レス) id: 7a41753020 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - カジャさん» いえ、ゴンドラの唄の命短し恋せよ少女を元にしました。 (2017年8月15日 22時) (レス) id: c081f3254b (このIDを非表示/違反報告)
カジャ - 夜は短し歩けよ乙女からタイトルとってますか？ (2017年8月15日 17時) (レス) id: 6539cbd64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作者ホームページ：http://nanos.jp/chiy1/
作成日時：2016年11月5日 12時
