42.まるで親子 ページ3
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｢……柏木、いつも疲れて帰ってくるし……ずっとそれに甘えるのも、申し訳無いっていうか……す、少しは休めれば、と｣
俺がそう言うなり、柏木は目を潤ませながら抱きついてきて、俺の頭をわしゃわしゃと撫で始めた。
自分の顔が一気に熱くなったのがわかる。そんな、ペットの犬を可愛がるみたいな……！
｢利島……！ いい子に育ったな……！｣
｢や、やめて！ べ、別に……あ、あんなにげっそりされてたら、こっちの気も休まらないし……！ それだけ！！ 早く食べなよ、冷めるから……！｣
｢そうだな……｣
そう言って俺から離れても、あの利島が……立派になって……、と鼻をすすりながら呟いている。……だから、あんたは親父か。
それから、鞄を片付けてくると言って、柏木は一旦部屋に入った。その間に少し冷めてしまった食事を、電子レンジにかけ温め直す。
すぐに身支度を整え部屋から戻ってきた柏木は、やたらニコニコしながら、いただきます、と言って丁寧に手を合わせた。俺もそれに続く。
柏木は、恐る恐ると言うように、米を一口含んだ。そして、ゆっくりと咀嚼する。
その様子を気にしつつ、自分も米を食べた……ら。
……何だこれ。べちゃべちゃしてる。水量が多過ぎたのだろう。お粥にも白飯にもなっていないこれは、はっきり言って……不味い。中途半端なべちゃべちゃ加減が気持ち悪い。
そして、米すらまともに炊けない自分に呆れた。
料理なんて小学校のキャンプ以来してなかったけど、まさかここまでとは。
米を炊くだけでこんな失敗をするとは思ってもいなかった。
これじゃ柏木の気が休まるどころか、更に疲れさせるだけじゃないか。
俺はなんだか申し訳なくなってきて、箸を置いた。
｢……おかず、そこのスーパーで買ってきただけだし、米、も、べちゃべちゃになっちゃったし。不味かったら、無理して食べなくて、いいから｣
気まずくて目も合わせられず、俯いたままそう言った。すると、柏木は｢何言ってんだよ｣と言って少し笑った。
｢利島が頑張って作ってくれたのを食べないわけ無いだろ。確かに少し失敗したかもだけど、食べられない程じゃないし。誰だって最初は上手くいかないもんだって。
それに、こうして用意してくれただけで嬉しい。助かったわ、ありがと｣
その柏木の優しさに、気遣いに、なんだか心が温かくなった。
助けるつもりが逆に助けられてしまうとは。内心自嘲しつつ、次はもう少しマシなご飯を作ろうと思った。
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こめ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます！ひええ……勿体無いお言葉ありがとうございます:;(∩´＿`∩);:とても展開も更新も遅いのですが、頑張ろうと思います…！！ (2017年9月10日 22時) (
レス) id: 68f211f4d4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - 文章が綺麗でとても読みやすかったです。BL？は初めて読んだのですが、文のおかげで内容に入り込みやすかったです。この作品がとても好きなので、これからも更新頑張ってください！待ってます！ (2017年9月10日 21時) (レス) id: 7a41753020 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - カジャさん» いえ、ゴンドラの唄の命短し恋せよ少女を元にしました。 (2017年8月15日 22時) (レス) id: c081f3254b (このIDを非表示/違反報告)
カジャ - 夜は短し歩けよ乙女からタイトルとってますか？ (2017年8月15日 17時) (レス) id: 6539cbd64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作者ホームページ：http://nanos.jp/chiy1/
作成日時：2016年11月5日 12時
