55.これは現実？ ページ16
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体育館に行きた過ぎて、身体から魂が抜け出そうな灰原だったが、丁度流れた校内アナウンスによって意識を取り戻した。
『──只今より、演劇部の発表が行われます。ご覧になる方は体育館、もしくは視聴覚室にお集まり下さい。それでは引き続き、祥洋高校文化祭をお楽しみ下さい』
演劇部の発表は生徒会の発表の後だ。つまり、生徒会の劇はもう終わったということ。
体育館に行ってくる、と木南達が言っていたのを思い出した灰原は、教室の出入り口をじっと見つめ、彼等の帰りを今か今かと待っていた。和泉の｢灰原、働けー｣という声は無視だ。
暫くして、例のクラスメイト達が教室に入ってきた。灰原は瞬間移動かと見紛うほどの速さで彼等に近づき、一人の肩をがしっと掴んだ。
｢お、灰原店長。客足はいかが？｣
｢見ての通りってか今そんなことどうでもいい。お前ら生徒会の発表観てきたんでしょ？｣
｢え？ ああ、うん。柏木可愛かったよ｣
｢柏木かぁああ！！！｣
｢ど、どうした灰原……落ち着け……｣
そんな戸惑い気味の友人の言葉が、既に自分の世界に入ってしまった灰原の耳に届くはずがなかった。(以下、灰原の心情)
そうか、そういえば柏木は生徒会役員だった……。役員はイケメンが多いけど、あんまり可愛い系は居ないから女役やるとしたら必然的に柏木になるよな。柏木に姫役が似合わない筈がない！！
うわぁ見たかった……ついでに相手役は誰なのかも知りたい……クソ、生徒会の発表の時間だけでも誰かに代わってもらうべきだった……。
悔しさに下唇を噛みしめる灰原を、友人達は不思議そうに眺めていた。
｢ま、まあ、柏木マジドンマイだったよな。女役だしキスするし｣
｢……は、キス？｣
｢そーそー、お姫様役でさ。執事役？ 相手役？ の会長とラストでキスするんだよ。まあフリだと思うけど……ん？ 灰原？ おーい？｣
｢やべぇ……息してねぇぞこいつ｣
＊
壇上の柏木はというと、最初のうちは緊張していたものの、段々と落ち着いてきて、周りが見える程度の余裕を持っていた。観客がどれだけ劇に入り込んでいるか、よくわかる。
劇は大まかに言うと、刺激を求め城から逃げ出した姫が魔王に攫われ、それを姫の執事が騎士となって助けに行く、というストーリーだ。
男子校でやるにしてはかなり眠たい内容だが、生徒会役員のレベルの高い演技と持ち前のルックスで、多くの観客を惹きつけた。(特に会長は女性客を虜にしていた)
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こめ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます！ひええ……勿体無いお言葉ありがとうございます:;(∩´＿`∩);:とても展開も更新も遅いのですが、頑張ろうと思います…！！ (2017年9月10日 22時) (
レス) id: 68f211f4d4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - 文章が綺麗でとても読みやすかったです。BL？は初めて読んだのですが、文のおかげで内容に入り込みやすかったです。この作品がとても好きなので、これからも更新頑張ってください！待ってます！ (2017年9月10日 21時) (レス) id: 7a41753020 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - カジャさん» いえ、ゴンドラの唄の命短し恋せよ少女を元にしました。 (2017年8月15日 22時) (レス) id: c081f3254b (このIDを非表示/違反報告)
カジャ - 夜は短し歩けよ乙女からタイトルとってますか？ (2017年8月15日 17時) (レス) id: 6539cbd64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こめ | 作者ホームページ：http://nanos.jp/chiy1/
作成日時：2016年11月5日 12時
