46.やはり会長は謎だ ページ7
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……えっと、あの、うん、何て? パードゥン?
そろそろキレていいかな。いいよね。ここまで結構耐えてきたよね、俺。
「俺はその意見には反対です!」
「どうして!? かおるん、君は友達の恋を応援したいと思わないの!?」
「そりゃ普通の恋なら応援しますよ? でも相手が女装姿の自分ってなら話は別です。俺としては姫のままコンテスト出て諦めて貰った方が良いです。先輩方もメイク変えなくて済むし楽でしょう」
「まあな」
俺の言葉に、メイク担当の先輩は頷いた。よし、周りの同意さえあれば、今度こそいけるぞ……!
しかし、思いの外会長は手強かった。
会長は急に真剣な顔になって、しっかりと俺の目を見て、ゆっくりと語りかけてきた。
「普通の恋……? かおるんの言う、普通の恋ってどんな恋? 男女の恋愛? 同性同士は異常だと言うの? それは違う。恋は人を選ばない。選べないんだ。本人だって知らないうちに、気がつけば好きになっているんだ。そうじゃない?」
……まあ、確かにそうかもしれない。会長の言葉に、俺も周りも頷いた。
……ッハ! いかんいかん、危うくまた良いように丸めこまれる所だった! 全く、会長のこの巧みな話術は一体何なのか。
「べ、別に同性を好きになることが異常だと言ってるんじゃありません。……ただ、俺だとバレたとき凄く気まずくなるんじゃないかと」
「だったら、ずっと隠し通せばいい。……せめて、想いを伝えさせてあげない? 片思いって、結構辛くて切ないものだよ」
そう言って静かに笑う会長は、とても悲しそうに見えた。
まるで、過去に会長自身が経験したことを語るように思えた。こんなに辛そうな会長を見るのは初めてで、何だか調子が狂ってしまう。
「……、わかりましたよ。それだけなら良いです。ちゃんと断った方がお互い楽でしょうし、」
「じゃーけってーい! コンテスト開催前に宣伝として校内を歩き回って貰うから、そのときを狙おう! カッコは前のと一緒でいいかな〜」
俺が渋々頷いた途端、会長は打って変わって計画を立てていく。
……ちょっと待て。まさか今までの全部演技だったりしないよな?
俺は笑顔で、会長に問い掛ける。
「……会長? もしかして今までの全部演技だったりします?」
「さあ、どうだろうね〜? 演技かもしれないけどー、本当かもしれない!」
そう言って会長は、ニコッと無邪気な笑顔を浮かべた。
今日ほど、この顔を殴りたいと思ったことは無い。
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こめ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます!ひええ……勿体無いお言葉ありがとうございます:;(∩´_`∩);:とても展開も更新も遅いのですが、頑張ろうと思います…!! (2017年9月10日 22時) (レス) id: 68f211f4d4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - 文章が綺麗でとても読みやすかったです。BL?は初めて読んだのですが、文のおかげで内容に入り込みやすかったです。この作品がとても好きなので、これからも更新頑張ってください!待ってます! (2017年9月10日 21時) (レス) id: 7a41753020 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - カジャさん» いえ、ゴンドラの唄の命短し恋せよ少女を元にしました。 (2017年8月15日 22時) (レス) id: c081f3254b (このIDを非表示/違反報告)
カジャ - 夜は短し歩けよ乙女からタイトルとってますか? (2017年8月15日 17時) (レス) id: 6539cbd64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/chiy1/
作成日時:2016年11月5日 12時