50.いよいよ幕開け ページ11
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『──本日は、祥洋高校文化祭にご来場いただき、誠にありがとうございます。まもなくステージでの発表が始まりますので、ご覧になる方は体育館、もしくは視聴覚室に移動を願います』
既に多くの人で賑わっている校内に、放送が鳴り響いた。高校の文化祭のアナウンスにしては、言葉が少し仰々しいんじゃないか、と木南は思った。
今年の文化祭は記念すべき七十回目ということもあり、多くの人が来ると予想した会長は、体育館で行われるパフォーマンスを視聴覚室でも見られるようにした。
そんな大袈裟な、と木南含め一年生は思っていたが、それは甘かった。
木南が体育館に到着したときには既に9割方席は埋まっていた。中には撮影のためか、壁際に陣取る人まで居る。入学前に学校見学で文化祭を訪れた一年生も、「ここまで人は居なかったぞ……」と若干引き気味だ。
それでも木南は無事席を確保し、友人達と並んで座って幕開けを待っていた。
かなり後ろの方だが、視力が良い木南には特に問題無い。
「てか人すげーな。これ本当に文化祭かよ?」
「入学する前から聞いてはいたけど……やっぱり凄いね」
「文化祭中に彼女できますように……」
律儀に手を合わせぶつぶつと何かを唱えながら祈る友人を、木南は呆れた目で見ながらも、それは自分もか、と思った。そして心の中で、この二日間のどこかであの子に会えたらいいな、と強く思った。
すると、急に体育館の電気が消え、周りが見えなくなった。いよいよかと期待に満ちたざわめきが広がる。高校に入って初めての文化祭、中学のとは桁違いの楽しさになりそうだと予感した。
『──お待たせ致しました。只今より、第七十回、祥洋祭を始めます』
言い終わった瞬間、ステージの端の方でパッとスポットライトが点き、マイクを手にした会長が現れた。相変わらずの良い笑顔だ。
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こめ(プロフ) - 蒼月さん» コメントありがとうございます!ひええ……勿体無いお言葉ありがとうございます:;(∩´_`∩);:とても展開も更新も遅いのですが、頑張ろうと思います…!! (2017年9月10日 22時) (レス) id: 68f211f4d4 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月 - 文章が綺麗でとても読みやすかったです。BL?は初めて読んだのですが、文のおかげで内容に入り込みやすかったです。この作品がとても好きなので、これからも更新頑張ってください!待ってます! (2017年9月10日 21時) (レス) id: 7a41753020 (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - カジャさん» いえ、ゴンドラの唄の命短し恋せよ少女を元にしました。 (2017年8月15日 22時) (レス) id: c081f3254b (このIDを非表示/違反報告)
カジャ - 夜は短し歩けよ乙女からタイトルとってますか? (2017年8月15日 17時) (レス) id: 6539cbd64d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こめ | 作者ホームページ:http://nanos.jp/chiy1/
作成日時:2016年11月5日 12時