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「声が翔にぃに似てたからかなぁ。おれ、介抱してくれるんだってわかってても、見ず知らずの人に体に触れられるのって苦手なんだけど、あの人は不思議と嫌じゃなかったんだよね」
「そういえば和にぃ、あの男性がシャツのボタン外した時も抵抗しなかったもんな」
「あ、ボタン開けたままだった」
忘れてたと、和也がシャツのボタンを締める。
和也の額に、潤は手を当てる。
「熱もないか」
乱れた前髪をささっと手櫛で戻してから、和也がふふっと笑った。
「うん。もう大丈夫だから。おれ、大学行くね」
和也はベンチから立ち上がると、大学の正門の方向を指さした。何人もの学生が、門の中へと入っていく。
「えっ、でも和にぃ、貧血起こしたばっかりだし、もう少し休んで行った方がいいんじゃ無い？」
朝とは言え、保健室のような存在の保健管理センターも開いているだろう。
そこに行った方がいいのではと言う心配性な潤に、和也がひらひらと手を振る。
「大袈裟だってば。もう大丈夫だって。もし何かあったら、斗真とか頼るからさ」
斗真というのは、和也の大学の親友で、心臓移植のことも知っている。潤も斗真とは会ったことがあるし、信頼できるやつなのはわかってるから、その名前を出されたら任せるしか無い。
「じゃあ、まぁ、くれぐれも無理すんなよ。今日は寄り道せずに早く帰って来いよな。あ、帰る前に電話して。迎えにいくから」
相変わらず潤は過保護だなぁと和也は思ったけれど、朝のバスで心配をかけたばかりだから、そこは大人しく、はいはい、と返事をした。
「もう行かなきゃ。一限目始まっちゃう。潤くんの大学方面行きのバス停あっちだから」
「は？！」
腕時計を見ると、もうすぐ9時になろうとしていた。
「俺の大学の方が一限目始まる時間早いんだけど！つーか、もう始まってんじゃん！これから戻っても遅刻だよ！」
医学部に通う潤は、必修科目が多く、どれも簡単に休むわけにはいかない。
「代返誰かに頼んでおいたら？」
「俺はお前と違って真面目な学生なんだよ！」
飄々と言う和也に、潤が吠える。
いつも和也には振り回されてばかりだ。
世話の焼ける兄貴を持つと苦労する。
だけど、潤はそれが不思議と嫌ではなかった。
こんなやり取りができるのも、お互い元気だからだ。
健康が一番。本当に。何よりも。
じゃあな、と片手をあげて、潤は反対車線のバス停へと駆け出した。
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千智(プロフ) - エミーノさん» お褒めいただきありがとうございます。renさんの作品の雰囲気と、Stillがうまく融合できたらいいなぁと思いながら書いてます。 (2021年3月6日 22時) (
レス) id: 5441d66b3a (このIDを非表示/違反報告)
千智(プロフ) - なみさん» 以前、Stillは番外編もたくさん書いたから、もう書くことない、なんて言っていた私ですが、また書いちゃいました。Stillの和くんたち、やっぱりまだ書きたい場面たくさんわいてきて。renさんとコラボできたおかげですね。需要があればもっと書きたい気持ちでいっぱい。 (2021年3月6日 22時) (レス) id: 5441d66b3a (このIDを非表示/違反報告)
なみ(プロフ) - 大好きなstill...が動き出した事、ありがとうございます！楽しみにしています！ (2021年3月6日 19時) (レス) id: d3553e1c3d (このIDを非表示/違反報告)
エミーノ(プロフ) - 千智さん、そうなんですね〜、すごいなあ！ほんと新鮮でした。お二人とも文才があるから、こうやってコラボ作品のトーンを揃えていくんですね！ますます続きも楽しみです。 (2021年3月5日 22時) (レス) id: 0d7547df4a (このIDを非表示/違反報告)
千智(プロフ) - エミーノさん» いらっしゃいませ。スピンオフ、今日公開した1を書いたのは私です〜^_^ 私の作品は一人称ばかりでしたから、三人称で書くと違って見えましたかね？なんか嬉しいです。 (2021年3月5日 22時) (レス) id: 7013b25d47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千智×ren
x他1人
作成日時：2021年2月28日 21時
