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2.侍女 ページ2
鬼子の娘“A”の髪は赤っぽく色づき、瞳は透き通った琥珀色。
かつての梅桃姫‹ユスラヒメ›に似た姿になって言った。
本人にも薄く前世の記憶があり、侍女の中には「梅桃姫‹ユスラヒメ›様」と呼ぶ者もいた。
姫の子孫が繋いだ一族の梅月‹バイゲツ›家に仕える侍女は、だいたい姫に恩を感じている者である。
そしてこれはAが十歳になった頃の出来事である。
Aの部屋襖の前で「失礼いたします」と侍女が一言掛け、戸を開いた。
「A様、奥方様がお呼びです。至急向かってくださいませ。」
私は笑みを浮かべ、侍女に声を掛けた。
「ご苦労様。ところで母上は何処にいらっしゃるのかしら。」
すると、「松の木が植わっている中庭の縁側に腰かけていらっしゃいました。説明が足らず、申し訳⎯⎯⎯」
謝ろうとするので、私は彼女の言葉を遮って、
「いいのよ。顔を上げて、誰でも間違いはあるわ。大丈夫だから、謝らないでちょうだい、ね。」
と言った。
吃驚している侍女を横目に戸を開き、
「ありがとう、私は母上の元へ向かうわ」
母の元へ向かった。
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作者名:猫飴 | 作成日時:2022年1月1日 20時