1.昔話と鬼子 ページ1
元気な女の子。
必死に泣いて、もがいて、呼吸している。
「歯が………ああ、やっと………!」
その子は、生まれながらに歯が生えていた。
鬼子だ。
他にも親に似ない子という意味もあるが、まだそれは分からない。
良い印象を持つ者は少ないが、この一家はその“少ない”方に分類される人間達である。
昔々、青梅‹オウメ›という娘がおりました。
その娘は、誰にも分け隔てなく接し、働き者の美しい娘でした。
しかし、その娘は罪を擦り付けられてしまいました。
そのため村の民に虐げられ、悲しきタヒを迎えました。
人々に憎しみや怒り、恨みの感情を強く思いタヒんだため、鬼に変貌し、復讐を行いました。
それでも、最後まで自分を信じ続けてくれた者、青梅‹オウメ›のタヒに涙する者、この事件に関わりのない者には手を出しませんでした。
その後、日本各地に現れては、人の手助けをしたり、食料や金を配り歩いたりと、良い行いの分、沢山感謝されたのだ。
その行いから優しい鬼《鬼神·梅桃姫》‹ユスラヒメ›として各地で祀られました。
梅桃姫‹ユスラヒメ›は心の優しい男と結ばれ、双子の元気な娘を産みました。
双子の娘が十五になった頃、梅桃姫‹ユスラヒメ›は息絶え、その子孫が命を繋ぎ、その一族が現代に生き、生活しているのだ。
この一族、梅月‹バイゲツ›家に鬼子が生まれた事はなかった。
だが、当時の梅桃姫‹ユスラヒメ›が
「もし貴女達が結婚して、その子供が鬼子だったら、私が生まれ変わった姿かもね」
と双子の娘に言った事があったため、梅月‹バイゲツ›家における鬼子の意味は、
「梅桃姫‹ユスラヒメ›様の転生されたお姿」
という誠に喜ばしい事なのである。
そして産まれた鬼子の娘は“A”と名付けられ、大きなお屋敷で、沢山の愛情を注がれて育ちました。
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作者名:猫飴 | 作成日時:2022年1月1日 20時