体育祭１５ ページ6
今まで一番の白熱 と言っても過言でない程の歓声と熱の籠った解説。
「みんな必死に戦ってるんだ！
全力でかかってこい！」
満身創痍でそれでも瞳に燃えんばかりの熱を灯した緑谷が紫に変色した拳を握る。
『私だったら全力ぶつけられて負けるより半分の力でこっちの勝算上がってる方がいいけど』
「デクくんは、なんというかすごくヒーローやんね………」
頬にガーゼを当てた麗日が 手を口元に当てて大きく頷く。
その瞬間、緑谷の握り締められた拳が轟の腹に叩き込まれる。
緑谷に轟が顔を歪めて何かを吐き捨てているが観客席のAの元へは聞こえてこない。
「君の！！！！力じゃないか！！！」
その言葉を聞いて緑谷が轟に向かって大声で叫ぶ。
轟は口を微かに開いて泣くのを必死に堪えるような表情で瞳を揺らす。
Aは轟の表情を遠目で見、手を口元に当てる。
『私あの顔好きかも』
「なんで今？でも轟くんかっこいいもんね！」
ぽつり と呟いたAに、葉隠がぶんぶんと＿と言っても見えないが＿首を縦に振っている、ような気がする。
Aが顔を正面に戻した瞬間、先程までのひんやりとした空気が一瞬で熱帯のような暑さに変わる。
「熱きたぁ………」
「左を……使った……？」
今まで右の氷の個性のみで戦ってきた轟が、初めて左の炎を見せた。
左からは炎を、右からは氷結を出す轟は苦しそうに、しかし興奮した面持ちで笑っていた。
その顔を見たAの体いつだったかの、脳がぴりぴりと痺れるような感覚が蘇る。
緑谷が笑って轟に飛びかかり轟も迎撃しようとした瞬間、見かねたセメントスがコンクリートの壁で二人の衝突を阻もうとする。
が、轟の炎が壁を打ち砕く。
砕かれたコンクリートが破片となって巻き上げられ、観客席に暴風と共に降り注ぐ。
『あっつ……』「どうなってますの……？」
「なんも見えん……っ」
あまりの風圧に吹き飛ばされないようにするのが精一杯で、目が開けられなくなる。
《くっそ何も見えねぇ！
ミッドナイト！勝敗はどうなってんの？》
それは実況席も同じようで、サングラスのずり下がったプレゼントマイクが慌ててマイクを手に取り叫ぶ。
吹き飛ばされていたミッドナイトは、打った後頭部を擦りながら目を細め、あっと驚いた声を上げる。
煙が晴れた瞬間、皆が目を見開いて声を漏らす。
「緑谷くん場外………
轟くん、三回戦進出！」
轟も目を見開き、鍛えられた上半身を晒してただ突っ立っていた。
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ちとせ(プロフ) - ひまりさん» わーいありがとうございます！精一杯頑張ります。 (2020年5月16日 13時) (
レス) id: f121ce48a2 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - 最近ヒロアカにハマって一気読みしました！とっても面白いです！これからも更新頑張ってください！！ (2020年5月16日 2時) (レス) id: d2e32c185c (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - こおりさん» ありがとうございます！自己満作品ですがどうかこれからもよろしくお願いします。最推しは轟くんなのですが、最近弔くんがとても好きです！ (2020年5月12日 19時) (レス) id: f121ce48a2 (このIDを非表示/違反報告)
こおり(プロフ) - とても面白いです！！ これからも頑張ってください！応援してます！！ ちなみに最推しは誰ですか？？？ (2020年5月12日 15時) (レス) id: 335947b1ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちとせ | 作成日時：2020年4月30日 15時
