デート？３ ページ34
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「仲良いお二人さん、これおじさんからのサービス。」
猫と戯れている写真をそれからも数十枚と撮られAが諦めたように心操の向けるカメラにピースサインを送っていると、店に入った時に心操と話をしていた中年の店員が二人の前に紅茶の入った白い湯気のたつマグカップを置いた。
笑顔で店員に礼を言うAはとても残酷な一面を持つ悪魔のような女には見えない。
ただの猫好きの、あまりにも人間離れした美しさを持つだけの少女だ。
心操は丸いテーブルに頬杖をつき、両手でカップを持って懸命に息を吹きかけているAを眺める。
『あち』「猫舌？」『たぶん』
舌を紅茶に差し入れ、顔を顰めて舌を出したAに心操は端末のカメラを向けた。
Aはそれには気づかず、カップを置いて部屋の隅の方で寝そべっている先程の黒猫の所へ足音を殺して歩いて行った。
「人使くん、体育祭見てたよおじさん。
凄かったねぇ、君も彼女さんも。」
否定しても信じてもらえないと悟った心操は曖昧な表情で一言、ありがとうございます とだけ言った。
心操は床に座り込んで猫を撫でるAを眺めて眉を下げ、彼女を愛おしいと思う自分の気持ちを自覚せざるを得なかった。
恋心。
普通科の生徒の間では女神やら女王やらと呼ばれ敬遠されながらも恋心を抱かれることも少なくないAと二人で出かけている、という優越感と嬉しさ。
冷たい雰囲気を纏う彼女の幼く可愛らしい一面。
Aを見ると無性に端末のカメラを向けてしまうのは、そんな無数にある感情を写真に閉じ込めたいという願望の表れかもしれない。
『ほんと私に似てるよねおまえ』
白猫が一匹の灰色の猫の傍に近寄っていく。
白猫は優しく目を細めて尻尾を柔らかく揺らしたが、灰猫の方が更に近寄るとひと鳴きして逃げてしまい、一匹の黒い猫に頬を擦り寄せた。
Aにとって灰猫は心操、黒猫は耳郎。
そして白猫がAだった。
Aはいくら恋愛感情やそういった事に疎いとはいえ、少女漫画に出てくるような純粋で鈍感なヒロインでは無い。
心操の自分に向けている感情がただの友情でないことなどとっくに気がついていた。
気がついた上で心地よい関係を保とうとして近付いたり、あるいは距離が詰められそうになると別の所へ逃げたりするのだ。
『ずるい女だよ、私もおまえも。』
Aはいつの間にか自分の元へ戻ってきていた白猫の顎を人差し指で撫でた。
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ちとせ(プロフ) - ひまりさん» わーいありがとうございます！精一杯頑張ります。 (2020年5月16日 13時) (
レス) id: f121ce48a2 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - 最近ヒロアカにハマって一気読みしました！とっても面白いです！これからも更新頑張ってください！！ (2020年5月16日 2時) (レス) id: d2e32c185c (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - こおりさん» ありがとうございます！自己満作品ですがどうかこれからもよろしくお願いします。最推しは轟くんなのですが、最近弔くんがとても好きです！ (2020年5月12日 19時) (レス) id: f121ce48a2 (このIDを非表示/違反報告)
こおり(プロフ) - とても面白いです！！ これからも頑張ってください！応援してます！！ ちなみに最推しは誰ですか？？？ (2020年5月12日 15時) (レス) id: 335947b1ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちとせ | 作成日時：2020年4月30日 15時
