死んだ ページ5
・
アリスとウサギが、意を決した様に車に乗り込む。
危機一髪の状況で銃弾を交わしながら、それに続いた。
お守りを懐に仕舞い、乗車する。
「おおぉ…」
ふと後ろを見ると、呑気そうなチシヤが小走りで追いかけてきていた。
…この男は、こんな状況でも態度を崩さないのか。
「走って！」
焦りからそう呼びかけると、チシヤがやっと焦った顔をしてこっちを見た。
「ヤバっ、出せ！」
何事かとチシヤの視線を追いかけると、黒い塊が車体と彼の間に投げ込まれる。
それが何か理解するより前に、アンがタッタに「早く！」と声を上げた。
待って、まだチシヤが…！
｢チシヤ！｣
車の影に急いで身を隠した彼。
その直後に爆発して、あれは手榴弾だったのだと理解した。
｢おしっ、撒いたぞ！｣
｢チシヤ大丈夫か？｣
｢あいつなら1人で何とかする｣
心配そうなウチにそう慰めるアリス。
大丈夫って思ってても、人は簡単に死んでまう。
…Aの件で深くそう思った。
…A。
会いたい。こんな切羽詰まった状況でも彼女の笑顔を思い出して胸が苦しくなるのは、きっとウチだけやない。
｢っ…このゲームなんなん？ルールは？うちらエントリーもしてないやん…！｣
胸がくしゃくしゃになって、苛立ちをゲームにぶつけるように泣き言を言う。
車のミラーからこちらを覗いたアンと目が合って、逸らした。
｢武装した敵を倒せばクリアとか｣
｢敵って何人？｣
｢多分1人だよ。スペードのキングが1人。最強のラスボスだよ｣
焦る自分に冷静に答えるアリス。
その様子に段々ヒートアップしていた熱が落ち着いてくる。
｢…はぁ…｣
ため息をついた自分に、バックミラーでこちらを見ながらタッタが無邪気に話しかける
｢Aちゃんと合流する？｣
｢…あ、｣
ウサギが、｢私も聞きたかった｣と心配そうな顔をする。
当たり前に逃げきれたものだと思っているアリスは｢別行動か？｣と聞いてきて、アンはウチの態度で何かを察したのかずっと無言だ。
…誰もが生きとる、って信じて疑わん様子に、目を伏せてから
｢…死んだ｣
と零した。
｢…え？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 229人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がんもえ(プロフ) - みりんさん» ありがとうございます！！♡♡ (2023年2月2日 1時) (
レス) id: 828bc06f55 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 苹果飴さん» 苹果飴さん、ありがとうございます！通知がうるさいとは思いますがこれからも宜しくお願いします🦙 (2023年2月2日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - ナギさん» 愛しまくります嬉しいです🫶🏻🤍🤍😭 (2023年2月2日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - がんもえさん» ありがとうございます！是非メッセージの方に送らせて頂きますね！ (2023年2月2日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - サハラサバクさん» サハラサバクさん、コメントありがとうございます！溢れ出る創作意欲をぶつけてるだけなので誤字脱字多いかもしれませんが、宜しくお願いします！笑ദ്ദി^._.^) (2023年2月2日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みりん | 作成日時：2023年1月27日 12時
