友達 ページ8
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「あの飛行船。襲撃の間移動してた。もしかしたら街のあらゆる場所がゲーム会場なのかも」
アンの推測にタッタが弱気なことを言う。
確かに。武器が無いことには始まらへんな。
貰った小型爆弾だけが頼りや。
「ネクストステージ、レベルアップしてんな」
小さく呟けば、アンがチラリとこちらを見る。
…なんや?
「Aはどこ?」
眉を顰めて聞いてくるアンに、アリスが代わりに答える。
「渋谷駅付近で見失った」と。
死んだ訳では無いと分かったようで、ほっとため息をついたアン。
アンとAの仲の良さにはビーチの時から気づいとった。
同じ幹部として過ごした時間が長いのか。
アンがここまで人に心を開くのは珍しいな。
…ウチはAがピアニストをしてた時から一方的に知っとったから、何だかまだ「芸能人感」が拭えへん。
「…ええなあ、アンは。Aとフラットな友達関係で」
思わず緊張感の無いことを言えば、バックミラー越しに目が合った彼女がふっと笑った。
「…貴方もAの友達でしょう。安否を心配して彼女を案じるなんて。」
ハッとさせられる。
…そうや。
Aと過ごしていくうちに、彼女がただの完璧超人では無いことを知った。
痛いぐらいに優しくて、悲しいくらいに人を信じる女の子。
「…絶対、生きとってくれよ。Aもチシヤも」
あわよくば、2人が合流してればええんやけどな。
アンが小さく、ウチに同意するように頷いた。
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作者名:みりん | 作成日時:2023年3月13日 23時