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救い出してあげる ページ35




「だからって何で私がジャックの正体を見破れる事に繋がるの。」

「貴方は本質を見抜く力があるわ。貴方は、負けないの。」


言い聞かせるように言われて思わずゾクリとする。
その無意識の期待に、私は幾度となく押し潰されてきたというのに。
チシヤに出会って、ありのままの私を受け入れてくれて、ようやく変われたと思った。


「…生憎だけど。昔の私とは違うの。」

「……あら。それは残念。」


ちっとも残念そうじゃない。
……埒が明かないな。
フゥ、と息を吐いて彼女をの横をすり抜ける。
中央に集まった人々が私たちをチラチラと見ていた。ウルミという女王様がいないと何も始まらないからだろう。
早く行ってあげたら?
皮肉げにそう言おうと振り返って、息を飲む。
真っ黒な瞳が私に迫り、瞳孔を開きながら数ミリ先でニコリと微笑んでいたから。


「…ッ」

「今の貴方は私を震わせた貴方じゃない。」

「何、を……」

「生ぬるい、腐った鳥谷Aを救い出してあげるから…。待っててね」


……怖い。
本能でそう感じた瞬間、彼女はまだ残っている棒付きの飴を床に落とし、可愛らしいシューズでグシャリと潰した。
キラキラと光るピンクの飴がこなごなに砕け散り、破片となって飛び散るのを、ただ呆然と見つめていた。

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作者名:みりん | 作成日時:2023年3月13日 23時

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