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首輪 ページ19
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「A貸して。俺がやる。」
フードを目深に被った女性は、Aというのか。
どこか聞き覚えのあるその響き。
Aさんは少し逡巡し、そっと首輪をチシヤさんに手渡した。
きっと、これが自分たちの命を刈り取る道具になる。
慣れた手つきでAさんから首輪を受け取ったチシヤさんは、なんの躊躇いもなくそれを彼女の首に装着した。
自分の首輪を指さして「首輪自体は同じみたいだねぇ」と間延びした声を出す。
「心配しなくていいよ。少しの辛抱だからね。」
まるでAさんが死なずにここを出ると、確信しているような物言いだ。
優しい言葉を投げかけるチシヤさんに少し驚いてしまう。
正直、クールで近寄り難いイメージがあったから。
ありがとう、と頷くAさんは薄く口元を微笑ませて、階段を登った。
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作者名：みりん | 作成日時：2023年3月13日 23時
