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キスして ページ17



your side



「私、チシヤと一緒に行きたい。」


朝の準備を一緒に済ませる。
歯磨きをして服を着替えた後、私はチシヤとベッドに座ってそう発した。
意を決して彼を見つめると、分かっていたかのように頷かれる。


「そっか。」

「チシヤに何かあった時、傍に居れないのが辛いから。」

「1人だけしか生き残れないようなゲームだったらどうするの?」


試すように頬杖を着く。
1人しか生き残れないゲーム。
その響の残酷さに目を伏せる。
私だって思わなかった訳では無い。実際、そんなゲームを何度もこなしてクリアしてきた。
クリアして来たということはすなわち、私しか生き延びなかったという事だ。
あの時の切なさと言ったら、言葉にできない。


「私は、チシヤに生きて欲しいよ」


震える声で顔をあげれば、目を開いた彼が私の体を優しく抱きしめる。


「ごめん。酷なこと聞いたね」


謝罪するチシヤにフルフルと首を横に振った。
ここから先は絵柄のゲーム。そんな覚悟も必要になってくる。
特にハートのゲームは厄介だ。


「チシヤ、キスして」


最後になるかもしれない。
彼を見つめながらそう呟くと、今日何度目かも分からないキスをそっと唇に落とされる。
優しく啄まれるようなキスを数回、待ちきれないというように薄く開いた唇から舌が入ってくる。

閉じた瞼から零れた涙に、彼が気づいていませんように。

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作者名:みりん | 作成日時:2023年3月13日 23時

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