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なぁんてね ページ44




何ターンしても同じ。
安定した仲間とマークを教え合い、早く終わってくれと願う彼女の様子に正直苛立った。
だからこそ、救ってあげたいと思った。
元の彼女に戻してあげたい、でも彼女はもう変わってしまった。

……ならば殺すしかない。

好きだと叫ぶような甘い瞳を向ける、チシヤという男のその手で。

ジャックよ、彼女は。
そう囁けば、まるで不快だと言うように眉を顰める男、チシヤ シュンタロウ。
それでも私は彼女が死ぬと信じて疑わなかったのに。
独房から何事も無かったように出てくる彼女は強い眼差しで私を睨みつけた。
チシヤがざまぁみろというように彼女の手を取る。
あぁ、変わった。
本当に変わったわ、貴方。


「スペード!」


イチゴのお菓子を振りながら、欠けた心のどこかで思う。
疑心暗鬼な仲間の瞳。
ひょっとして、私は間違っていたの?
首輪が音を立てる。
爆発的な暑さが首元を覆って、すぐに私の意識と共に消えていく。
……あぁ、騙された。
死ぬ間際、私は刹那的な走馬灯と共にそう理解する。


_____友達に、なりたかっただけなのに。



悲しい、苦しい、助けて。
悲鳴をあげるような彼女のピアノに、私はあの時共感した。
……あぁ、願わくば最後にもう一度聞きたかったかしら。

なぁんて、ね。

恵まれてたんだね→←敬愛したピアニスト



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作者名:みりん | 作成日時:2023年3月13日 23時

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