Don't leave me alone 4

公正公平 ページ43

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公正・公平。
弁護士がこだわるその理念の先に、この男の思惑が隠されている気がした。
険しい顔で先程からずっと手を組み続けている。


「自身の命も含め 全ての命の価値は平等。…そう言いたいの？」


残念ながらそれが大声で言えるほど今の社会は綺麗じゃない。
そんな現場に何度も出くわしてきた自分だから言えること。
フッ、と嘲るような笑い声が聞こえゆっくりそちらを向くと、意外にもクニエダでは無くダイモンが、モニターの「てんびん」の文字を見つめながら意味ありげに言う。


「秤はいつも金が重い方に沈むんだよ？」


「金」ねぇ…。


「命の価値が同じなわけないじゃん」


耳に痛い話だ。
受け取る封筒が記憶から蘇り、フッと笑う。



「そんなに正義ヅラした話ならガッカリしちゃうわ」


クニエダが短くそう零すと、早くも2回戦目がスタートした。
難しい顔をした各々が唇を噛む。
…あーぁ、そんなに深く考えちゃって。
最終的には0に近づくだろうね。
最大値とか平均値とか、難しい事を考えれば考えるほど雁字搦めになる。

その姿はさしずめ蝶がクモの巣に絡め取られている様で、もがけばもがくほどその糸が体に食い込むのだ。

彼らが収まる数字を予測してタップすれば、制限時間になったのかモニターに結果が映し出された。
またもやクズリュウが点を制したようで流水音が流れる。

読みの精度があがったな。

皆の選ぶ数字が近づいてきた。
それぞれが考える値は同じ。どんどん低くなるのだから結果的に0にたどり着く。


「クズリュウ」


呼びかけると、ウンザリしたように「何だ」と返される。


「何となく見えてきたよ、あんたが測りたがっているもの。
…命の価値だろ」

「違う」

「じゃあなんなの。教えてよ」

「こいつが何を知りたいのか、そんなに重要？」


クニエダが流れを止める。
冷めたような瞳で、「どっちかは死んじゃうのに？」と嘲笑する。「まぁどっちも死ぬかもしれないけど」と神経を逆撫でするような言葉を選んで吐く女。
この女の行動にはいつも理由がある。

目的の為だけに、利害だけを考えて行動するその様はやはり自分と何処か似ていた。

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