出会って1日なのに? ページ18
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「いっぱいある…」
急いでそれを彼の方に持っていき、骨ばった手を取って包帯を巻く。
「…はは」
「なんですか?」
「君の方が痛々しいのに、俺の治療を優先するんだ?」
膝に手をついてこちらを見る彼に、それもそうかと思いつつもグルグルと巻き付ける手は止めない。
「しかも、下手くそだし。」
「…包帯巻くの上手な人なんていないでしょ。お医者さんか看護師ぐらい。」
じ、と私が巻くところを飽きもせず見つめていたチシヤさん。
「次はAの治療だね」
不意に、サラリと名前を呼ばれてまた胸が高鳴った。
…何この気持ち。
「私のは必要ないですよ」
「あるでしょ、君の方が重症だ」
消毒箱から手馴れたように次々と取り出す。
「あー、そっか。アイスとかが無いからアイシング出来ないなぁ」
専門的な用語を使うチシヤさんに、思わず目を瞬かせる。
「…詳しいんですね」
「まあね、元の世界では医者だったから。」
何て事ないように言う彼の言葉に納得する。
「なるほど。」
「…意外だって言わないの?」
面白がるように私を見つめる。
「何が意外なんですか?」
「…目の前で人が殺されても、何も思わない。常に全力な人を見てると、バカバカしい。
そんなやつが医者って言っても大抵の人は信じないよ」
「……でも、本当は優しいでしょう貴方」
じっ、と見つめると、意外そうな顔をしたチシヤさんが私の腕を巻く包帯を止める。
首を締められた後は、うっすら残っているけれど数時間たったら消える。
「…出会って1日なのに?」
確かめるように言われて、思わず考え込んだ。
「そうですけど…。でも、何だかんだ優しいのは伝わりますよ。…生きる為に必要な事を間違わないだけで。」
「……変な事言うね」
無言で腕に包帯を巻き付ける彼の手つきは慣れていて、なるほど、お医者さんってこんなに有能なんだと実感した。
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みりん(プロフ) - がんもえさん» クイナとアンのペア、すごく好きです(;;) ただ、スペードのキングのゲーム後にクイナに冷たい態度を取っているので…仲直り出来るのか( ›_‹ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - おむらいすさん» お母さんと交代してもらいました!暫くチシヤのターンですのでお付き合い下さい( ◜ᴗ¯)🤝(¯ᴗ◝ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - らむねさん» 実は、参加しないのです!やっぱりこのゲームは残酷なので、2人とも生き残るのは違うかなと¯֊¯⋆꙳ (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
がんもえ(プロフ) - 別のゲーム会場で誰かと会うのかな!クイナとかアンに会って欲しい……… (2023年2月6日 23時) (レス) @page41 id: 828bc06f55 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - dさん» そうなんですよ…( -᷅ ̫̈-᷄ )𐑲𐑲𐑲 チシヤと鉢合わせてしまうのか、ご期待ください✨️ (2023年2月6日 23時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりん | 作成日時:2023年2月1日 23時