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恵まれてたんだね ページ23



your side


3人死んだ。

…言い争っていた2人、そして吉塚さん。
これでウルミ達のグループは全員死亡だ。

あんなに教えあっていたのに、数時間で呆気なく死んでしまうなんて。
怖くなって腕をさすれば、冷たい目をした母親と目が合った。



「…こんなゲームおかしいだろ」



遠くで小さく声がする。
壁にもたれかかっているチシヤさんとイッペーくんが何か言っているのが聞こえた。


「ダイヤ」


非情にチシヤさんがイッペーくんのマークを告げる。
…それはつまり、ゲームを続行しろ、という事だ。


「いつまで続くんだ」


私も、何だか疲れてきた。
後藤さんが寄ってきて、「良かったな、お互い」と慰めてくれる。


「もう無理だ。人ってもっと綺麗なもんだと思ってた」


あぁ、彼はとても良い環境で育ってきたんだろうな。
人の残酷さを知らないからそんなことが言えるんだ。


「恵まれてたんだね。」


チシヤさんも同じことを言う。
形ばかりの応援を口にし、1ミリも思ってないように「2人で頑張ろう」とニコリともせず言う。

…そういう人だ。

分かっていた、彼はきっと仲間とかそういうの信じない。


「じゃあ、お願い」


ほら。
自分のマークを教えてもらいたいが為に、イッペーくんに背を向ける。
意気消沈した彼はちらりと見て言った。


「ハート」


少しだけ。
チシヤさんが疑うような表情を一瞬見せて、彼から立ち去る。
思わず追いかけた私の腕を後藤さんが掴んだ。


「…お嬢ちゃん」
「離して」
「残念だけど、この世界で正しいのは彼だ。」


首を振る。
違う、そんなことってない。
…これは、皆で協力すれば勝てるはずだった。
そうだよね?
1人追放すれば良かったはず。

…なんでこうなっちゃったの。


忠告してくれた彼の腕を振りほどいて、チシヤさんの背中を追いかける。



「…バケモノ」



すれ違いざま、母親から冷たい目で罵られ息が詰まる。
化け物かもしれない、疫病神かもしれない。
…それでも、チシヤさんはそんな私に手を差し伸べて答えを教えてくれた。


「…待って!」


廊下の突き当たり。
振り向いた彼の瞳は読めなくて、冷たかった。

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みりん(プロフ) - がんもえさん» クイナとアンのペア、すごく好きです(;;) ただ、スペードのキングのゲーム後にクイナに冷たい態度を取っているので…仲直り出来るのか( ›_‹ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - おむらいすさん» お母さんと交代してもらいました!暫くチシヤのターンですのでお付き合い下さい( ◜ᴗ¯)🤝(¯ᴗ◝ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - らむねさん» 実は、参加しないのです!やっぱりこのゲームは残酷なので、2人とも生き残るのは違うかなと¯֊¯⋆꙳ (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
がんもえ(プロフ) - 別のゲーム会場で誰かと会うのかな!クイナとかアンに会って欲しい……… (2023年2月6日 23時) (レス) @page41 id: 828bc06f55 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - dさん» そうなんですよ…( -᷅ ̫̈-᷄ )𐑲𐑲𐑲 チシヤと鉢合わせてしまうのか、ご期待ください✨️ (2023年2月6日 23時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みりん | 作成日時:2023年2月1日 23時

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