条件 ページ11
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yoshizuka side
「…ねぇ」
唇を噛んでいたら女の人に声を掛けられる。
「…はい」
この人は確か、Aさんと行動していた女性…。
50代前半くらいのその人は、昔は美人だったんだろうなという風格を漂わせながらそっと僕にこっそり耳打ちをする。
「…手を組みましょう」
「…え?」
思わず声が出た。
娘がペアの筈なのに、二重で組もうということか。
そう言えばさっき、死ねばよかったのにとか何とか怒鳴っていたな。
…__仲が悪いのか?
「貴方のマークを教えてあげるわ。その代わり私にもマークを教えて」
「あ…それは全然、いいんですけど…」
ペアを組んだ後藤さんの方をちらりと見る。
別に自分には後藤さんがいるから、マークなんか教えてもらわなくたっていいのに。
メリットがない提案を優柔不断のせいで受け入れれば、呆れたような顔をしたペアの彼にため息をつかれた。
そういえば後藤さんも50代前半ぐらいだろうか。
眉に皺を寄せて、「…あのお嬢ちゃんは?」と顎でしゃくってみせた。
「…あぁ。信用ならないわ」
「信用ならない?何故だ、アンタの娘だろう」
「よく分かったわね」
「母親の癖に、って言ってただろ」
「序盤から娘の言うことに聞き耳を立ててたの?ヤダァ、怖いわ」
わざとらしく後藤さんの神経を逆撫でするようなことを言う。
それを胃に介さず、「娘を裏切るのか」と尚も続けた。
…そう言えば後藤さんは、刑務所の前で立ちすくんでいたAさんの背中を押していたな。
僕も刑務所に入る前に後藤さんをちらりと見ただけだけど、その時の姿が印象的で自分から彼にペアを持ちかけたんだった。
思考に耽っている最中、国枝ヨウコが蠱惑的な笑みを浮かべた。
「…まさか。…けど、そうねぇ」
僕の首輪をすっとなぞる。
「あの子には、痛い目見て貰いたいのよ」
「は、?」
思わず素っ頓狂な声が出て慌てて口を抑える。
バンダ、という男がちらりとこちらを見た気がした。
「…あの子、嫌いなのよ」
血走った目で娘を睨みつける母親。
異様な光景に喉の奥が引き攣った。
「…マークを教えるのは構わねぇけどよぉ…」
呆れたように後藤さんがそう言うと、もうひとつ。と人差し指を立てて彼女が言った。
「もう一つだけ、条件があるわ」
条件って言ったって、僕たちにはなんのメリットもないのに…。
そして彼女は、真っ赤なルージュを付けた唇をニンマリと横に引き、僕だけに地獄のような条件を口にした。
「それはね、_____」
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みりん(プロフ) - がんもえさん» クイナとアンのペア、すごく好きです(;;) ただ、スペードのキングのゲーム後にクイナに冷たい態度を取っているので…仲直り出来るのか( ›_‹ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - おむらいすさん» お母さんと交代してもらいました!暫くチシヤのターンですのでお付き合い下さい( ◜ᴗ¯)🤝(¯ᴗ◝ ) (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - らむねさん» 実は、参加しないのです!やっぱりこのゲームは残酷なので、2人とも生き残るのは違うかなと¯֊¯⋆꙳ (2023年2月7日 0時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
がんもえ(プロフ) - 別のゲーム会場で誰かと会うのかな!クイナとかアンに会って欲しい……… (2023年2月6日 23時) (レス) @page41 id: 828bc06f55 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - dさん» そうなんですよ…( -᷅ ̫̈-᷄ )𐑲𐑲𐑲 チシヤと鉢合わせてしまうのか、ご期待ください✨️ (2023年2月6日 23時) (レス) id: 54bed94868 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりん | 作成日時:2023年2月1日 23時