小さな世界の中では、“偶然”なんてない【jw】 (ページ5)

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親と愛と双子とページ5

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　「愁太…」

話しかけようとするも、無視される

きっと母から教え込まれてきたのだろう。「兄とはしゃべるな」と

俺は愁太の持っていたブロックが欲しかった

　「愁太、そのブロックかして」

　「イヤ」

　「ええやんか、かして」

そのブロックに手を伸ばそうとしても、遮られる

　「イヤ!!」

…別にええやんか

俺は愁太のブロックを手に取り、思い切り引っ張った

　「あ、やめてぇや!!

　はなしてよ!うわぁぁぁぁぁん!!」

無理矢理取ってしまったら、愁太は急に泣き出して、母が来てしまった

　「淳太!!何をやってるの!」

　「ブロックを…」

　「もうこれ以上愁太に触らないで!!」

その言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かが砕けた

刹那、涙が溢れ出て来る

　「なんでよ…べつにええやんか!!

　なんでおれはアカンのよ!おれをほめてくれんのよ!

　なんで…っなんで…っ!!」

　「それはあなたが愁太よりも劣っているからよ」

そう冷酷に言い告げた

　【さぁ、絶望した君になら、今このチカラを開放できる

　自分の思うがままに唱えてみな?】

悪魔の囁きが聞こえる

今の頼りは彼だけだった

彼が誰よりも俺を知っていて、誰よりも優しくて、誰よりも俺に向き合ってくれた

だから、この頃の俺は彼を信じ込んでいた

　「みんなの…バカっ!!!」

そう叫んだ瞬間、点いている照明が思い切り光った

テレビも勝手についた

エアコンも勝手についた

オモチャたちも動き始めた

オモチャたちは徐々に母と愁太の元へ歩いていく

　「あ、あなたは

　…誰なの?」

母も愁太も俺をニンゲンとして見ている目ではなかった

　「ねぇ、愁太にもできんこと…あったで?

　これで…ほめてくれる?」

そう言った瞬間二人ともこの部屋から出て行った

なんで…?

俺はエライことしたんじゃないの?

愁太にもできないことがあったよ…?

なんで褒めてく入れないの?

その感情が俺の中を占めた

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