小さな世界の中では、“偶然”なんてない【jw】 (ページ27)

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親と愛と孤独とページ27

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その人は真っ黒いレインコートを着て、フードを被っていた

フードは顔の上半分をほぼ埋めていて、顔は見えない

その人は、ゆっくりとこちらに降りてくる

そして、ようやくシルエットがはっきりしてくる

服は真っ黒いのに、時折見える肌は服とは反対の真っ白な肌だった

　「ご、ごめんなさい…どうしても……」

　「いいのよ、あなたは、ちゃんと私が言ったことができたのだから」

「いい子、いい子」ととも兄ちゃんの頭を撫でるその人

とも兄ちゃんはとても満足げな顔をしていた

この人が……“神”…?

　【マズイぞ……逃げよう、智洋!】

　「………」

動けない

動くことができない

俺はその人を視線から外すことができず、ずっと見ていた

　【くっそ!!

　魅了(ﾁｬｰﾑ)か!】

　「フフ、良い子よ」

いつの間にか、とも兄ちゃんは寝かされていた

そしてその人は、ゆっくりと俺に近づいてきた

　「……っ!」

　【お前…離れろよ!!】

その人はまだ小さかった俺の身長に合わせて、しゃがみ、

あと少しで唇が触れ合ってしまうのではないかという距離まであった

　「あなたは“選ばれ”ていなければ、私側に来ていたというのに

　残念よ。その代わりに、あなたの血の繋がっていない兄を使わせてもらったわ」

　「うそ……だ…」

とも兄ちゃんは使われていたの?

俺がいたからなの…?

　「けれど、あなたは私の手中にいなくても十分に面白いわ

　その代わり。」

そう言って、その人は俺の額にキスをした

　「あなたの名字を変えてあげるよ

　あなたにピッタリの…ね」

すると、急に異様な眠気が襲ってきた

　【おい!おい!智洋…!】

　「“また”逢いましょうね。

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　『神山』智洋くん」

そして、気を失った

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