小さな世界の中では、“偶然”なんてない【jw】 (ページ26)

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親と愛と孤独とページ26

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巻き起こった台風は、屋根を突き抜け、さっきまで晴れていたはずなのに、目が霞むほどの雨が俺らをうつ

雨は俺を濡らし、とも兄ちゃんを濡らし、みんなを濡らした

　「やっぱり……お前が……っ!」

　「とも兄ちゃん…」

　【ソイツが敵なの?】

その声は俺の右肩にいた

見ると、緑色の髪で白い服で包まれていた小さな小さな男の子

　【僕がやってあげようか?】

彼は明るい笑顔でそんなことを言う

　「やっぱりお前が……

　なんでお前が“選ばれた”んだよ…!

　だから俺は“神”にすがるしかなかった

　お前はなんだって俺から奪っていく…!」

　【まぁ、それは君が弱いからだろうね】

　「なっ…!」

　【君は“選ばれなかった”んじゃない

　“選べられる価値”もなかった】

　「…っ!」

　【弱い者こそ、遠吠えがひどいね

　だから僕はこの子を選んだ】

そのまま彼がとも兄ちゃんに手を向けて、力を入れた瞬間、

とも兄ちゃんのもとに大きな竜巻が当たる

　「あぁ…っ!!」

　【へぇ、避けたんだぁ】

また彼は強い目線でとも兄ちゃんを見ていた

　「やめてっ!!」

どんなに裏切られても、どんなに罵られても、やっぱりお兄ちゃんなんだ

…たとえ家族を全員殺されても、お兄ちゃんなんだ

　【なっ!!?なぜソイツを助けるの!!?

　キミの家族を全員…】

　「それでも…っ!

　家族なんだっ!!」

　「智洋……」

　【…わかったよ】

彼は手を下ろした

俺も安心してしまって、ついとも兄ちゃんの方を見た

　「…なんでだよっ!

　俺はお前が大嫌いなのに…!」

　「俺は、だいすきなんだもん。」

　「……なんだよ、それ」

とも兄ちゃんは「さすがゆぅ兄の弟だ」と安心したように笑った

一瞬だけ、また一緒にいられる雰囲気が漂っていた

…けれど、

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　「失敗してるんじゃない。智久」

　「ヒッ、ご、ごめんなさい…“神”様…」

　「う、嘘……」

頭上から声が聞こえたと思ったら、その人は真っ黒の傘をさして、浮いていた

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