小さな世界の中では、“偶然”なんてない【jw】 (ページ23)

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親と愛と孤独とページ23

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深夜になった

俺は寝付かず、布団にくるまったまま、ずっとワクワクしてた

　「智洋ー」

ボソッとした声が聞こえた

　「ゆぅ兄ちゃん」

なるべく声を潜める

　「行くぞ」

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高台の方に眠気に耐えながらも、足を進める

　「眠いか…?」

　「うぅん…大丈夫だもん」

　「無理するなよ」

そう言って、ゆぅ兄ちゃんは握っている俺の手をギュっと握る

俺も小さい力で握り返す

　「頑張ろっか」

　「うん」

ゆっくりと急な坂道を上った

数分後、ようやく着いた

　「うわぁ…!」

周りには一面の星空

この景色はずっと記憶に残っている

果てしなく続いているこの星空の中では、どれだけ自分がちっぽけな存在なのかと思わせてくれる

自分を見失わないで済むのがこの星空なんだ

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　「あ!」

　「え、智洋、どこ!!?」

地面に寝ころんで、二人で頭を合わせて見る星空

　「あそこー!」

　「え、もうわかんないじゃん!」

空にひとつの光った星がどこかへ行くのが見えた

これが、“流れ星”なのだということは、わかっていた

　「なぁ、智洋

　何かお願い事した?」

　「ねがいごと?」

　「そう。お前が一番叶えたいことを願った?」

　「うぅ～」

ゆっくりと考えていると

　「あ!めっちゃ来た～!!」

星空にはたくさんの流れ星が

ゆぅ兄ちゃんも俺も見とれていた

　「智洋、俺さ

　家族“4”人でずっといたい」

　「ゆぅ兄ちゃん…?」

ゆぅ兄ちゃんは俺の方を見る

　「俺がさ、智久をつれてこなかった理由はな、

　アイツが星が嫌いなんじゃない

　実はな、アイツ……

　俺らとは他人なんだ」

　「え…?」

　「アイツ、最近、何かの宗教団体みたいなところに通っててさ、

　俺がやめとけ、って言ったらさ、『血が繋がってない兄ちゃんに言われても、俺はやめない』

　って言われたんだ

　…俺さ、もう壊れてくアイツを見るのは辛いんだ……」

ゆぅ兄ちゃんは、切なげな表情をしていた