私の彼女が今日も愛しい。【鬼滅の刃】【胡蝶しのぶ】

五十二話 ページ4

鬼舞辻へと刀を振りかぶる最中、屋敷はうごめく。うねうねと、私達を呑み込むように。きっと、琵琶鬼と愈史郎くんがせめぎ合っている結果だろう。

……私達が鬼舞辻に有利に戦うには、こいつを屋敷の外に出すしかない。つまり、愈史郎くんが鍵なのだ。彼が琵琶鬼に勝らねば、鬼殺隊(私達)はいずれ全滅する。彼が勝ってくれることを、私は祈るしかない。

「桜の呼吸 陸ノ型 花の浮き橋！！」

足に力を込めて飛び、刀を脳天めがけて突き刺す。メキメキ、と嫌な感触。同時に、周りから筆舌に尽くしがたい轟音がとどろいた。

屋敷全体に亀裂が走り、轟音を立てて落ちてくる瓦礫。降ってくる瓦礫の隙間から、キラキラと輝く、満点の星が見えた。

「……っ、痛……」

しこたま体を打ち付けたせいで、節々が痛む。けれど、ここで立ち止まっては終わりだ。だから、痛む体を押して立ち上がり、走り出す。遠くの方から、夜明けまで一時間半だと叫ぶ鴉の声が聞こえた。

蜜璃ちゃん達が技を出していくのに続き、私も強力な技を出していく。酷使する肺が痛いけれど、呼吸は止めない。鬼舞辻の息の根を止めるまでは、決して。

伊黒さんの刀が、アイツの頸を捉えて、斬る。しかし、あろうことかアイツは、斬られたその瞬間から再生するというふざけたことをしてきた。これじゃ、いくら斬っても意味がないじゃないか。愕然とする私達に、鬼舞辻が飄々とした顔をして、至る所から出ている管を私達に向けた。

駄目だ、これは避けられない。少しでも負担を減らそう、と刀を体の前に掲げた時、視界の端に黒い影が横切った。

＿＿瞬間、飛び散る血飛沫。ぶちりと上半身と下半身が千切られ、無造作に地面に放られる。頭が胴体と離れ、勢いのまま吹っ飛んでいく。

「駄目ぇーーっ！みんなやめてぇっっ！！」

蜜璃ちゃんの悲痛な声に我に返る。隊士達が私達を守るように前に出て、文字通り肉の盾になって散っていく姿が、目の前に広がっている。

「いけーーっ！柱を守る盾になれ！！今までどれだけ柱に守ってもらった！！臆するな闘えーーっ！！」

一人の隊士が叫び、それに触発されたように、雄叫びを上げて隊士達が鬼舞辻に突っ込み、そして散る。

「即死できた者は幸運だ。あれを見ろ」

鬼舞辻がそう呟き、視線を横に向ける。誘われるままそちらを向くと、炭治郎くんが苦悶の表情で倒れていた。

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