好きになっちゃいけないと？《レペゼン地球》

よんじゅうに ページ48

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「Aさん、やっぱ具合悪いんやん」


脇先生が私の手を引いて歩き出す。


「具合悪いんなら早く言わんと」


周りへのカモフラージュなのか
私の姿をさりげなく隠しながらそう言って
私の手を引いて歩く脇先生の背中は大きくて。


何だかひどく安心して、涙が溢れた。


脇先生は生活指導室に入って、椅子に座らせてくれる。


「脇せんせ、ずるい」


鼻をすすりながら言えば
脇先生はなんで、なんて優しく笑う。


「優しくされたら、我慢できんけん
こんなアホみたいな姿、人に見せとうないのに」


小さくしゃくりあげながら言えば
脇先生は私の頭を撫でた。


「全然アホみたいじゃないとよ」


「そーいうとこっちゃん」


しゃくりあげながら脇先生を指差せば
脇先生はおかしそうに笑う。


「で、どうしたと？Aさん」


脇先生が私の顔を覗き込んで聞いてくる。


「……さん付けとらんと言わん」


調子に乗った私は鼻をすすって唇を尖らせて言う。


前から嫌やったんやもん。


「はは、しょーがないけんね、A」


先生に話してみ？


そう言って笑った脇先生は誰よりも格好よかった。

＊

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