好きになっちゃいけないと？《レペゼン地球》

いち ページ2

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『これからこの五色高校で保健体育を
受け持つことになりました、脇将人です。
これからは皆と仲良くやっていきたいと思ってます。
なので、積極的に話しかけてきてくれたら嬉しいです』


春、眠気を誘う始業式に、私は先生と出会った。


「……めっちゃタイプやわ」


その先生の優しい笑み、柔らかい声音に
私は心地良い眠気から意識を取り戻した。


思わず口からこぼれる声に周りの人がどっと笑う。


突然沸き起こった笑いに脇先生は状況が把握できず
不思議そうな顔をしたあと、照れ臭そうにはにかんだ。


あ、かわいい。


そんなことを考えていると
新しく担任になる先生がこっちを見て睨んでいる。


はいはい、初日から問題起こさんでってことけんね。


「……ケバブ」


私は担任のあだ名_ケバブ、ケバい化粧してもブスの略_を
周囲にだけ聞こえるくらいの小声でボソッと呟いた。


すると私の周りの人は笑いを堪えて震える。


中には小さく吹き出す人もいた。


そんな私の声が聞こえたのか否か
担任は私の方へと歩いてくる。


「霜月さん」


怒気を孕んだ声の担任に私は腕を引かれて
体育館から引っ張り出される。


あーあ、めんどくさいっちゃん。


なんて思いながらもう一度体育館の壇上に目をやると
こちらを見る脇先生と目が合った。


あ、


と思った時には脇先生はもう正面を見ていたけれど。


担任からのお小言を聞き流しながら
私は、ラッキー、なんて考えていた。

＊

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