先輩への質問 ページ10
「あいつまだ帰ってこねーのか
ちょっと俺探してくるわ」
幹先輩がそう言って部室からいなくなった数分後。
「トミー、俺トイレいってくる」
「おー、いってら」
トイレで用を足して、部室に戻ろうと歩いていると
見覚えのある華奢な背中を見つける。
「楠木先輩、」
俺の声に振り返った楠木先輩は
俺を視界に入れると小さく目を見開いたあとに
何時ものように目を三日月ように細めて笑う。
「ああ、なんだ、小鹿くんか」
「すみませんね、幹先輩じゃなくて
それと、幹先輩が探してましたよ」
「ふんっ、相棒一人見つけられないなんて薄情だなあ！
…まあ、幹ちゃんが来なさそうなところに
逃げてたのは私なんだけどさ……」
少し眉を下げて、困ったように笑いながら
耳に髪をかける楠木先輩が言った。
「どうしてですか？」
俺の言葉に、楠木先輩は目を開く。
「どうして、幹先輩が
来なさそうなところに逃げたんですか？」
楠木先輩の瞳を真っ直ぐ見て尋ねれば
楠木先輩は動揺したように瞳を揺らして俺から目を逸らした。
「まあ、お茶でもしようか、少年」
俺に背中を向けて歩き出した楠木先輩に
ついてこい、と言われてるように見えて
俺は楠木先輩の後を黙って追い掛けた。
着いたのは、落ち着いた雰囲気の喫茶店。
慣れたように席に腰かけて頬杖をつく
楠木先輩は絵になっていて、思わず見惚れる。
「なんだ、小鹿くん
そんなに見られちゃ穴が開くぞ」
そう言って揶揄うように笑う楠木先輩から
慌てて目を逸らした。
そんな俺を見てまた楠木先輩は愉快そうに笑う。
「砂月さーん、いつもの
この子のも同じのでいいぞ」
なんて、漫画やドラマでしか聞かないような台詞を言う楠木先輩。
「はいはい、そこの彼も？
というかもしかして楠木ちゃんの彼氏かい？」
「そーそー」
楠木先輩の適当な返事に俺は慌てる。
「楠木先輩！！？」
「ああ、後輩くんか、お疲れさま」
俺の数々の苦労を見越してきたかのように
笑って言う彼に俺も頭を下げることしかできない。
「……で、なんだっけ？」
黙々とミルフィーユを食べていた楠木先輩が
フォークをくわえながら尋ねる。
俺はそんな楠木先輩の言葉で先程の疑問を思い出した。
「……何でわざわざ幹先輩が
来なさそうなところに逃げたんですか？」
俺の言葉に楠木先輩は「チッ、覚えていたか」と
眉をひそめて舌を鳴らした。
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ち ゅ ん ぴ(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます。私の小説で毎日楽しんで貰えるだけで十分すぎるくらいの喜びです!!続編は、今のところ作る予定なので、是非見てくださいね!! (2019年2月13日 18時) (
レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
ち ゅ ん ぴ(プロフ) - もみじさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて良かったです!続編についても、そのうちアンケートを作成するので、是非参加してください!! (2019年2月13日 18時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ログインをしていないのでお気に入り追加こそできていないですが、毎日楽しく読ませて頂いていました。続編、書いていただければ嬉しいです！ (2019年2月13日 17時) (レス) id: 5927839365 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - すごく面白かったです！続編ぜひ作っていただきたいです！ (2019年2月13日 17時) (レス) id: a31a1084b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ち ゅ ん ぴ | 作成日時：2019年2月6日 16時
