先輩の片想い ページ8
「楠木、お前が言ってたハンカチ、
喜んでもらえたわ、ありがとな」
幹先輩が楠木先輩に嬉しそうな顔をして報告する。
楠木先輩は雑誌を読んでいた手を止めて顔を上げた。
長く伸びた前髪を邪魔そうに首を振って避けながら
小馬鹿にするような半笑いを浮かべる楠木先輩。
「そりゃ良かった
今度はコンドー ムでもプレゼントする？」
そんな楠木先輩の一言に顔を赤らめて
楠木先輩の背中を思い切りしばく幹先輩。
「痛ｧ！！痛っっ！？」
苦痛の表情で背中を押さえる楠木先輩を無視して
幹先輩は楠木先輩の読んでいた雑誌を奪う。
「あ！私が先に読んでたんだぞ！」
そう言って雑誌を取り替えそうとする
楠木先輩を軽々と避けて幹先輩は笑う。
幹先輩の隣に座って不満そうに
頬杖をつく楠木先輩の顔は幸せそうで。
「幹ちゃん、」
「あ？」
「ぷぷっ、ゴリラ顔ー」
「殺すぞ」
顔を見合わせて悪態をつく二人を見て
お似合いなのにな、なんてぼんやりと考えていた。
「おーいー、カンタ話し聞けやあ」
トミーに肩をどつかれて俺は我にかえる。
「ごめん」
トミーに謝ったとき、部室の扉がノックされる。
「あの、大雅くん居ますか？」
扉から恐る恐る顔を出したのは知らない女の人。
女性らしい雰囲気を纏った彼女を見て幹先輩は
顔を赤らめ楠木先輩は顔を強張らせた。
俺はそんな二人を見て察する。
ああ、この人が幹先輩の好きな人か。
「どうした？」
慌てたように椅子から立ち上がる幹先輩の腕を
楠木先輩が咄嗟に掴む。
「幹ちゃん、サークル活動ほっぽって
あんな可愛い女の子とデートですか？」
揶揄うような楠木先輩の発言に二人は顔を赤く染める。
「違うわ、ボケ」
真っ赤な顔で楠木先輩の手を振り払い彼女の元へ歩く幹先輩。
「ちょっと行ってくるわ
あと、あいつが悪ぃな、変な奴なんだよ」
そう言う幹先輩に彼女は顔を赤くしたまま首を左右に振る。
「幹ちゃん、あんま遅くなんないでよ？」
そう言ってケラケラ笑う楠木先輩に
会釈して二人はいってしまった。
ヒラヒラと手を振っていた楠木先輩は机に伏せる。
「……」
無言で雑誌を愛しそうに撫でる楠木先輩に
なぜか全く関係の無い俺がドキリとしてしまった。
「おーいー、聞く気ねーの？？」
「わー！ごめん！！ほんとごめん！！」
トミーの呆れたような声に我にかえって
俺はトミーに謝り本題に戻る。
雑誌を愛しそうに撫でる楠木先輩の姿が
脳裏に焼き付いてなかなか離れてはくれなかった。
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ち ゅ ん ぴ(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます。私の小説で毎日楽しんで貰えるだけで十分すぎるくらいの喜びです!!続編は、今のところ作る予定なので、是非見てくださいね!! (2019年2月13日 18時) (
レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
ち ゅ ん ぴ(プロフ) - もみじさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて良かったです!続編についても、そのうちアンケートを作成するので、是非参加してください!! (2019年2月13日 18時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ログインをしていないのでお気に入り追加こそできていないですが、毎日楽しく読ませて頂いていました。続編、書いていただければ嬉しいです！ (2019年2月13日 17時) (レス) id: 5927839365 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - すごく面白かったです！続編ぜひ作っていただきたいです！ (2019年2月13日 17時) (レス) id: a31a1084b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ち ゅ ん ぴ | 作成日時：2019年2月6日 16時
