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先輩、 ページ14

「小鹿くん、そこでしっかり見てるんだぞ」

「はい、でも、本当に俺でいいんですか?」

あれから数日後、俺は楠木先輩に
幹先輩に告白するのを見届けてくれと頼まれた。

別に、俺は全然構わないが、むしろ俺で良いのかと不安になる。

もっと、眼鏡先輩だとか、トミーとか、適役はいると思う。

「何度も良いって言っただろう
それに、私を焚き付けたのは君じゃないか」

「でも…」

「しっ」

長くしなやかな先輩の指が俺を制す。

先輩が視線を移した先には面倒臭そうな顔の
幹先輩が楠木先輩を探すように辺りを見渡していた。

「じゃあ、ちゃんと見てるんだぞ」

先輩は悪戯っ子のように目を細めて幹先輩のもとへ行ってしまう。

俺はもう黙って成り行きを見守ることしかできなくて
その場で息をひそめて様子を伺うことにした。

「やあ、幹ちゃん
急にこんなところに呼び出してすまない」

「何だよ楠木」

「今日は幹ちゃんに言わなくちゃいけないことがあってね」

そう言って先輩は頭を掻いた。

幹先輩は怪訝そうに眉をひそめてそんな先輩を見つめる。

「幹ちゃん、」

「あ?」

「幹ちゃんはさ、いつまでも私の相棒だよね」

先輩の問いの真意が読めず顔をしかめる幹先輩。

「まあな」

幹先輩の返しに先輩は「だよね」と笑う。

「…あのさ」

そう続けた先輩は、一呼吸置いて、空を見上げる。

青い空を見上げた先輩の瞳は
緊張したように、少しだけ水気を含んで揺れていた。

「何だよ」

幹先輩が問えば、先輩は微笑んで幹先輩を見つめる。

「幹ちゃん、好きだよ」

先輩の柔らかい声に幹先輩は目を丸くする。

「は?何言ってんだ、楠木」

「言っておくけど、冗談なんかじゃないさ」

「私は本気で、幹ちゃんが好きだ」

先輩の真剣な声に、本気だと理解したのか
幹先輩は眉を下げた。

「…悪い、楠木。俺は、桃瀬のことが心から好きで、
大切にしたいって思ってる。楠木は、俺の大事な相棒だ」

困ったようにそう言う幹先輩に、先輩は
小さく俯いて、ため息を吐いた。

「楠木?」

「幹ちゃん、」

「……何だ?」

「私たちは、大学一のコンビだろ?」

そう言って笑う先輩に幹先輩も笑う。

「当たり前だろ」

「うん、ありがと、幹ちゃん」

「おう。桃瀬んとこ、行ってくるわ」

先輩の頭を撫でようと手を伸ばして、
その手を止めて幹先輩が笑う。

「うん」

先輩も笑ってその場から去る幹先輩の背中を見つめていた。

聞いてください。→←先輩、クソダサいです。



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ち ゅ ん ぴ(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます。私の小説で毎日楽しんで貰えるだけで十分すぎるくらいの喜びです!!続編は、今のところ作る予定なので、是非見てくださいね!! (2019年2月13日 18時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
ち ゅ ん ぴ(プロフ) - もみじさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて良かったです!続編についても、そのうちアンケートを作成するので、是非参加してください!! (2019年2月13日 18時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ログインをしていないのでお気に入り追加こそできていないですが、毎日楽しく読ませて頂いていました。続編、書いていただければ嬉しいです! (2019年2月13日 17時) (レス) id: 5927839365 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - すごく面白かったです!続編ぜひ作っていただきたいです! (2019年2月13日 17時) (レス) id: a31a1084b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ち ゅ ん ぴ | 作成日時:2019年2月6日 16時

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