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先輩、クソダサいです。 ページ13

「先輩、それ、幹先輩に伝えないんですか」

俺の言葉に、珈琲を啜っていた先輩が噎せる。

「ゲホッ、ゴホゴホッ
…小鹿くんは馬鹿かい?鹿だけに馬鹿なのかい?」

噎せながら珈琲のカップを置いて俺のことを
馬鹿にしたように言う先輩に俺は唇を尖らせる。

「だって、楠木先輩はどうせ
幹先輩の応援なんてしてないだろうし
幹先輩と桃瀬さんの幸せも別に願ってないんですよね?」

「よくわかってるね小鹿くん、その通りだよ」

苦笑いを浮かべた先輩が図星を突かれたように頭を掻く。

「じゃあ伝えればいいじゃないですか
困らせてやればいいじゃないですか
掻き回してやればいいじゃないですか」

俺の言葉に戸惑ったように先輩は視線をさまよわせた。

クルクルと、居心地悪そうにティースプーンを掻き回す。

「結局、気持ちを伝えていないのは
先輩の逃げなんじゃないんですか?」

カラン

先輩がティースプーンから手を離すと高い音をたてる。

「……先輩は、泣き寝入りするんですか?
あんな、突然横入りしてきた先輩の大嫌いな女に、」

焚き付けるように先輩の目を真っ直ぐ見て言えば
先輩は驚いたように目を開いた。

「…小鹿くん、君も案外言うんだな」

「先輩にだけですよ」

「小鹿くんも腕、あげたなあ」

先輩が愉快そうに目を細めて呟く。

「後輩に焚き付けられて、情けないな
……砂月さん、お会計」

席を立った先輩が財布を片手に歩き出す。

「あ、あの、俺、自分の分はちゃんと払いますよ!」

慌てて立ち上がった俺に先輩は微笑む。

「ここは先輩にカッコつけさせてくれよ
ここまで散々カッコ悪いとこ見せちゃったんだからな」

それに、出世払いってことでどうだい?

そう言って笑った先輩は
今まで見た中で一番毒気のない無垢な笑顔をしていた。

「…ありがとうございます」

「よろしい」

じゃあ、戻ろうか。

そう歩き出す先輩の後ろを着いていっていると
俺のパーカーのポケットが震えた。

スマホを取り出せばトミーからのメール。

『トイレ長すぎ』

「……あっ」

ヤバい、忘れてた。

帰ったあと、勿論トミーに散々嫌みを言われた。

先輩、→←.



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ち ゅ ん ぴ(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます。私の小説で毎日楽しんで貰えるだけで十分すぎるくらいの喜びです!!続編は、今のところ作る予定なので、是非見てくださいね!! (2019年2月13日 18時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
ち ゅ ん ぴ(プロフ) - もみじさん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けて良かったです!続編についても、そのうちアンケートを作成するので、是非参加してください!! (2019年2月13日 18時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - ログインをしていないのでお気に入り追加こそできていないですが、毎日楽しく読ませて頂いていました。続編、書いていただければ嬉しいです! (2019年2月13日 17時) (レス) id: 5927839365 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - すごく面白かったです!続編ぜひ作っていただきたいです! (2019年2月13日 17時) (レス) id: a31a1084b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ち ゅ ん ぴ | 作成日時:2019年2月6日 16時

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