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Motoki side


シルクが、驚いたように俺を見つめる。


俺は苦笑いをして言った。


「俺、幽霊になったみたい。」


その俺の言葉が言い終わるのと同時に
シルクが俺に駆け寄る。


けれど、シルクの腕は空を切るだけで何も掴めないまま
勢いづいたシルクはその場に倒れ込んだ。


俺を見つめる瞳が、揺れる。


「っ……なんで。」


くしゃり、今にも泣き出しそうに顔が歪んだ。


そんな表情を見ると、俺は死んだんだという事実が
痛みに変わって俺の胸を刺した。


「…何、しに来たんだよ、忘れ物か?」


無理矢理な笑顔をつくってシルクは俺に聞いた。


「うん、未練があるらしいんだ俺。わかんないけど。」


俺がいつも通り間延びしたようにそう言えば
「お前もわかんねぇのかよ。」と笑うシルク。


いつもみたいに歯を見せて笑う姿に俺はホッとした。


「そう、だからいつまでたっても成仏できないの。
……それより、よく俺が見えたね。」


シルクの霊感に今だけは感謝だね。


そう笑えばシルクも「だな。」とくしゃっと笑った。


そこで、ふとシルク以外の皆のことが気になった。


「そうだ、皆は?今日は撮影ないの?」


俺がそう聞けばシルクは急に顔を強ばらせ俯いた。


「……バラバラに、なっちまった。」


申し訳なさそうに眉を下げ細い声でシルクは言う。


……きっと、皆がバラバラになったのは俺のせい。


シルクに、こんな顔をさせてるのも、俺。


なら、俺のやるべきことはひとつ。


「ねぇ、シルク。」


俺はシルクに近づいた。


シルクは俺のことを不思議そうに見つめる。


「俺さ、また、みんなとバカやりたい。」


シルクの目を見つめ、微笑めば唇を噛み締めるシルク。


「……っ、」


その瞳は何かをためらうように揺れる。


その瞳の中に、静かに燃える炎を見た気がした。


俺の大好きな、あの輝いた炎。


「ね、シルク、またみんなで遊ぼう。」


もう一度、その瞳の炎を見つめながらそう言った。


シルクが、覚悟を決めるようにゆっくりと目を瞑った。


「……だな。」


再び燃え盛り始めたその瞳の奥の炎に
おかえり、なんて意味を込めて俺は微笑んだ。


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ち ゅ ん ぴ(プロフ) - Leafさん» ありがとうございます!!その言葉を励みに、日々精進しますね!これからも応援していただけたら嬉しいです。 (2018年6月20日 22時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです!続き待ってます (2018年6月20日 17時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
chisa12(プロフ) - はらさん» ご指摘ありがとうございます。訂正しておきますね。 (2018年4月26日 6時) (レス) id: 022154d35a (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグちゃんと外して下さいねー (2018年4月25日 21時) (レス) id: 3abbd88b82 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ち ゅ ん ぴ | 作成日時:2018年4月25日 19時

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