特別でありたい(青） ページ1
私の彼は芸能人。
ファンの皆にしょーちゃんと呼ばれてる。
私も、しょーちゃんと呼ぶときがあるけどファンに呼ばれたときと私が呼んだときの表情は違うと信じたい。
ファンのことをエイターさんと呼ぶらしいけど私には関係ない。
そう、私は嫉妬してる。
ファン、エイターに嫉妬する私ってどうしようもないと思う。
ファンが居ての、エイターさんが居てのしょーちゃん達だから
今日も彼の出てる夜の番組を観ながら自己嫌悪に陥る。
しょーちゃんが彼氏ってだけで凄い贅沢なのに私って嫌な女。
なんだかなぁー。一人ため息をつく。
「大きなため息やなぁ。幸せ逃げるやん。」
後ろから聞こえる声に思わずびっくりする。
「おかえりなさい。」
彼の顔を見ながら
平静を装い迎えの言葉を発する。
「ただいま。」
笑顔で答えてくれる。
その笑顔で何人の人を、虜にするの？
今日もキラキラ笑顔で
アイドル、しょーちゃんをやってきたんだろうと思うとどうしても嫉妬しちゃう。
アイドルって、分かってて付き合ったのに。
私の中に黒いドロドロしたものが溢れて
自己嫌悪に陥いり彼から目を反らす。
「なぁー。。今日は、しょーちゃんおかえりーって言わへんの？」
突然言われドキリとする。
私の心の中を読まれたかのように。
彼は天然なようで変なとこしっかり記憶してる。
そして、こだわる。
電話の最後にバイバイって言わないともう一回電話かけてきたりね。
私がいつも、おかえりの前に名前を呼ぶことを覚えていたらしい。
「………」
うつ向きソファーに座る私。
その前に膝をつく彼。
私の手を握りこう言った。
「なぁ。優衣。ここだけの話、
ファンの子やエイターのしょーちゃんより、優衣からのしょーちゃんの方が俺嬉しいんやけど。」
「あっ……、でも一番は章大って優衣に呼んでもらうこと。」
上目遣いで微笑みながら言われたら余計に心が痛む。
「なぁ……優衣。嫉妬は悪いことじゃないんやないかなー。俺だって優衣が、男と仲良くしてたら嫉妬してまうゎ。嫉妬するってしっかり俺を好きでいてくれてるって証拠やんな。嫉妬してもええんちゃう。」
心の中を見透かされいる。
あぁ、彼のファンには悪いけどやっぱり好きだ。
今日も優しい彼に救われた。
「しょーちゃん……章大、おかえりなさい。」
「ただいま。優衣」
《特別でありたい》
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作者名：るん | 作成日時：2018年6月22日 12時
