いつも、君と。3rd

９．いよいよ ページ17

(菅野side)









「えーっと、勇人さんでしょ、王子、卓…
皓ちゃんに、椋丞くんに、慎吾くん
うんよし、全員いる！」

6「お前なあ…(笑)」

18「さっきから何回確認してんの(笑)」








新幹線に乗り込んですぐに
担当選手の確認を何度も何度もするAを見て
前に座る勇人さんも思わず苦笑い。







時が過ぎるのは早いもので
明日、いよいよ開幕だ。








「…だ、だって！
今までこんなことなかったんだもん」

18「まあ、よかったわ」

「うん、これで後ろめたさなく
広島行ける！幸せ！ハッピー！」

6「テンション高いな」

「そりゃもう！」

6「…優勝、するから
って毎年言うてるし説得力ないよな(笑)」







後ろの席の俺たちに
振り返って話していた勇人さんだったけど
進行方向に直って、そう言った。









「そんなことないです
毎年そう言ってくれる勇人さんが
今年も変わらず
キャプテンでいてくれてよかったです」

18「勇人さんが
ぴんぴんしてるうちに胴上げします」

6「…なんやそれ(笑)」








顔は見えないけど
俺の気持ちも、もちろんAの気持ちも
きっと、勇人さんには伝わっているし
勇人さんの気持ちも痛いぐらい伝わってくる。









6「今年優勝できへんかったら
俺ほんまにキャプテンクビやろなー」

「…何バカなこと言ってるんですか」

6「…」

「優勝、するんでしょ
さっきそう言ったばっかなのに
…意気地なし！」






そう言って勇人さんが座る
前の座席を思いっきりグーで殴った。







18「ちょ、お前！」

6「はは、…ん、気合入ったわ」









なんて、優しさの欠片もないAの言葉にも
勇人さんはそう言って笑って
座席の頭から軽く握った拳だけを出してきた。




その手を見て優しく笑ったAは
自分の小さい拳を合わせた。






やっぱりこのふたりには
俺が入ってはいけないような雰囲気があって
前はそれが気に入らなかったけど
今は何故か当たり前みたいに
受け入れられている自分がいて。









「ともも、あんまり気負いすぎないように」

18「…ん、了解」

「あれ、素直」

18「はは、お前のおかげじゃね」

「…何それ、」








そう言って照れて窓の方を向いたAは
やけに、愛おしく感じた。









.









18(…A、)
(んー？…っん、ちょ！新幹線！)
18(誰も見てねえって)
(そういう問題じゃない！)
6(…)





.

10．ジンクスここにあり？→←　．

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す