ちいさな恋のお話

◇　立岡宗一郎 ページ9

.







「...宗一郎髪切った？」


「や、パーマあてた」


「...ふうん」









髪を切ったらしい宗一郎は
更にかっこよくなっていて
ああまたモテちゃうな
なんて私の不安はお構いなし。









「え、変？」








可愛い顔してそんなこと
聞いてくる宗一郎は少し不安げで。









「...ふつう」


「なにそれ(笑)」


「...いいんじゃない？」









素直に似合ってるよって
かっこいいよって言えばいいのに
私もとことん可愛くない。









「Aさ、照れてる時唇噛むのクセだよね」


「...」


「今噛んでるよね(笑)」


「...うるさい、」


「はは、ほんと素直じゃない」


「可愛くないって言いたいんでしょ」


「可愛いって言いたいんだよ」


「...」


「あ、また噛んだ〜(笑)」


「...っ、もうやだ」


「はは、照れてる照れてる」


「...」








「...俺はAだけだよ」









この人はいつも私が欲しい言葉をくれて
たまにエスパーなんじゃないかなって思う。









「...当たり前でしょ」


「はは、だなあ」









可愛くない私の言葉にもいつも優しく笑ってくれて。









...だからたまには









「...私も宗一郎だけ、だもん」


「...ほらね」


「え？」


「Aはやっぱり可愛い、」


「〜っ、からかわないで」


「...好きだよ」


「わ、私もっ」









そういうと同時に重なった唇。









「っ、うう」


「A顔真っ赤(笑)」


「ほっといてっ」


「...ほっといたら
どっか行っちゃいそうじゃん、」









こんなこと言う宗一郎は初めてで
不安なのは私だけじゃないのかも
なんて自惚れてしまいそうになる。









「行かないよ」









だからたまには私も
エスパーになってちゃんと言うよ。









「...宗一郎、好きだよ」









そしたらずるいなあって笑って許してね。









.









(ねえたぴおか、)
(...その呼び方やめて)
(可愛いじゃん)
(Aもそのうちたぴおかでしょ)
(...っ、)
(噛んでる噛んでる(笑))




.

◇　小林誠司→←◇　お知らせ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す