ちいさな恋のお話

◇　岡本和真 ページ19

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「…わ、久しぶりに見た」






聞き慣れた着信音と、携帯に表示された
名前を見て思わずそう呟いた。




野球に集中したかった和真と
そんな和真のプレッシャーに耐えられなくなった私。




…怖かった。
どんどん有名になって、遠くなって
そのうちさよならってされる気がして。






今思えば、そんな器用な奴じゃ
ないことぐらいわかるんだけど。



…でも、手を離したのは紛れもない私で。




そんなことを考えていたら鳴りやんだ携帯。






「…出れないでしょ」



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「…いやおるんなら出てえや」

「え…な、んで」

「玄関の前で電話したら
家ん中で鳴っとるのに出えへんから」






なんてにっと笑って
ズカズカやってきて隣に座った和真。







「な、なんで」

「玄関の鍵閉めえや、物騒やで」

「…」

「元気やった？俺超元気」





なんて何事もなかったかのように
半年会ってなかったことが嘘みたいに
懐かしい顔で笑う和真を見てたら
喉の奥がジワジワと熱くなるのがわかった。






そして気付けば、






「…」

「…なんか言うてや」

「好き」

「…は？」

「好き」

「…え、あっ、ええ！？」

「…わがままでごめん」

「そんなん都合よすぎやろ
こっちがどんな気持ちで、」

「うん、わかってる」

「…俺が言おうと思っとったのに」

「…？」

「好きやった、ずっと」

「…へ、」

「半年前、Aさんから別れようって
言われた時から今ここに来るまでずっと」

「…嘘」

「嘘やない(笑)」




そう笑った和真に迷わず飛びついた。






「…おおっ熱烈やん(笑)」

「…だいすき、」

「はは、俺も」

「…怖かった
和真がどんどん遠くなってく気がして」

「うん、Aさんがそう思っとるのは
何となく気づいとったのに
見て見ぬふりしたのは俺やから、ごめん」

「私も伝えればよかったのに
そんなことすらできなくて」

「…まああれや
お互い様ってことにしようや」

「…うん、」

「…ってことで、あの」

「ん？」

「いいっすか」

「何が？」

「…半年、我慢してたんで」

「…ばか、」








空いた時間を埋めるように、私たちは。







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(Aさん体力無くなったんちゃうん、歳？)
(…うるさいよ)




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