ちいさな恋のお話

◇　坂本勇人 ページ12

-さとみ様リクエスト-







「...どう？面白かった？」


「はい！とっても！」


「はは、ならよかったわ」







.







私が働いているカフェの常連さんだった
坂本さんと図々しくデートの約束まで
してしまった２週間後、お互いの休みが重なり
映画を見に来ていた。






.







「坂本さんお腹空きません？」


「その坂本さんってやめてや
俺はAちゃんって呼んどるのに」


「でももう坂本さんで慣れちゃってるし」


「今日から勇人で慣れればええやん」


「...坂本さんって
勇人って名前似合いますよね」


「急になんなん(笑)」


「なんか勇人って感じする」


「やったら尚更勇人って呼んでや」


「...へへ、勇人さん」









なんだか慣れないな、なんて思って
さかも...勇人さんを見ると
心なしか嬉しそうに見えて私まで嬉しくなった。









「Aちゃん何食いたい？」


「んー、オムライス」


「はは、子供か！」


「...３つしか年齢
変わらないじゃないですか」


「やな(笑)
美味いとこ連れてったるから行こ」








そういって車を出した勇人さんの
運転姿はそれはもうかっこよくて。








「...なんか付いてる？」


「え、」


「見すぎや(笑)」







無意識にじっと見てしまっていた
私の頭をコツンと叩いた。








「...っ」


「顔真っ赤やけど気分悪い？」


「...っ大丈夫、です」


「...ならええけど」







.






しばらく沈黙が続き
ふう、と息を漏らして勇人さんは話し出した。









「...なあ俺が今から言うこと
勘違いやったらちゃんと言うてな」


「...」


「自惚れてるだけやったら
ちゃんと突き放してな」


「...」


「...Aちゃん俺の事好き？」


「...」


「なんか言うてや
俺アホみたいやん(笑)」


「...勇人さん、勘違いだったら
ちゃんと言ってって言いました」


「...」


「...勘違い、じゃないです
...自惚れて大丈夫です」


「...っなんなんそれずるいわ」








そういって勇人さんは次の信号をＵターン。







「道間違えました？」


「進路変更」


「どこいくんですか？」


「家」


「...だ、誰の」


「俺の」


「...だ、だめ！」


「ええから大人しく待っとき」








そう言った勇人さんに思わず
どきりとした私は
言う通り大人しく待ってたとかなんとか。









.







(やっぱりだめ！)
(なんで？)
(な、なんとなく？)
(...ほう、ええ危機感や(笑))
(...)




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