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「…褒めてくださったんです……
わたしのこと。
あの頃、わたしまだ新米で、
今よりもっと何にもできなくて…
失敗ばっかりだったんです。
なのに、そんなわたしの事、
『いつも頑張ってるね』って。
会うと必ず褒めてもらえて、それが嬉しくて。
いつの間にか心の支えになっていました。
わたしの事、見ていてくれる人がいるって。
ふたりで食事に行くようになって、
夜の街をドライブしながら
いろんな事を話して……楽しかった。
だから、ホテルに誘われた時には、
断ることができませんでした。
褒め言葉は『頑張ってるね』じゃなくなって、
いつの間にか、わたしの身体とか、
容姿に関するものに変わっていて、
疑問に思うこともあったけれど……
それでも、
心の支えを失うのは怖かったんです…」
「なんや、
ダメな妹の恋愛バナシ聞いてるみたいで
生々しいなぁ〜」
俺の発言に、また泣きそうになるAちゃん先生を見て、慌てる。
「また言うてもうた……ごめんやで。
俺、口悪いし、こんな性格やから、
悪いもんは悪い!
ってつい、言いたくなるのよ。
確かに、Aちゃん先生のしたことは、悪い。
だから、もうアイツとは
二人きりでは会ったらいかんし、
きっちりハナシつけた方が良いと思う。
そしたら、堂々と前向けるんちゃうかな?
大事なんは今からやん?
俺で良ければ助けになるし。
心の支えが必要なら、
俺がなんぼでもなったるしな。
会うたんびに、
これでもかってほど褒めちぎったるで?
もちろん、下心なんてなしでな?
そやなぁ。今日の誉め言葉は、
『自分の欠点を人にちゃんと言えた、
Aちゃん先生はエライ!』やな。
自分の欠点がわかってる人間は、
まだまだ成長するよ……
大きくなんで?Aちゃん先生は」
真っ赤な目をしたAちゃん先生が、笑った。
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作者名:myu | 作成日時:2019年8月16日 1時