* ページ6
トイレを済ませて休憩スペースに近づくと、どうやら二人は小声で話しているようだった。
「……困ります…」
「いいじゃん、
直帰しても良いんでしょ?送ってくよ…」
「いえ、そんな訳には…」
「トオルをさ、先に家に連れて帰るからさ、
それから二人で食事でもして…ね?」
「本当に困ります…」
「…冷たいなぁ。
僕たちあんなに愛し合った仲なのに……
ねぇ、A?」
…………え?
A?
愛し合った?
は!?
……元カレとか?
まさか、不倫じゃないよな……
そんなんしたら、ヤバイで?
「トオルくん、
ひとりでトイレできて偉いなぁ!」
俺はわざと大きな声で話しながら戻る。
小声の会話は止んでいたけれど、明らかに顔色の悪いAちゃん先生を見て、俺は嘘をついた。
「ほな、Aちゃん先生。
打ち合わせ、始めましょか?
もうお話終わられました?」
Aちゃん先生が何にも言わないことを良いことに、トオルくんの父親に満面の営業スマイルを贈る。
「…あ、そうですか。
それでは、失礼します。
トオル、先生方にご挨拶して…」
少しばかり苛立った表情の父親に連れられてトオルくんは帰っていった。
183人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:myu | 作成日時:2019年8月16日 1時