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先にソファに腰かけたけんじろ先生に両手を引かれて、足の間に座らせられる。
背の高いけんじろ先生。
さっきまで上の方にあった顔が、すぐわたしの目の前にきた。
真面目な顔のけんじろ先生が、わたしに言う。
「Aちゃん先生?
もういっぺん、好きって言うて?」
こくん。
頷くわたしは、けんじろ先生の目を見つめて言う。
「好き…」
『ちゅ』
「もういっぺん…」
「好き…」
『ちゅ』
好きって言う度に、けんじろ先生の唇がわたしに重なる。
わたしは嬉しくて、夢中になって
「好き」を言う。
「好き…
けんじろ先生、好き…
大好き…………」
けんじろ先生の「もういっぺん」が、段々わたしに近づいてきて、唇の先を触れたまま繰り返されるようになる。
「好き…」
もっともっと、たくさん言いたかったのに、けんじろ先生に完全に塞がれてしまったわたしの唇は、もう言葉を紡げない。
その代わりに、言葉よりもっと甘い声が漏れ始めた。
「…ん………
んっ!…んん……はっ…」
「…Aちゃん先生、
案外えろい声出すんやな……」
唇を離したけんじろ先生が意地悪に言う。
ふたりの間には、さっきまで重なりあっていたしるしの糸が一本引いて消えた。
「け、けんじろ先生のキスが、
やらしすぎるんです…」
「言うたやろ?キス魔やて
………また、しよな?」
そんな風に言うけんじろ先生は、いつも通りににやっとして笑ったけれど、わたしは恥ずかしいやら、嬉しいやらで、赤くなって俯くしかなかった。
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作者名:myu | 作成日時:2019年8月16日 1時