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「ちょ、待って?Aちゃん先生…」
俺の呼びかけにも反応しないので、奥の手を使うことにした。
「あ、痛ぁーー!痛たたー!!」
「けんじろ先生!?大丈夫ですかっ?」
案の定、慌てて帰ってきた彼女の手首を掴む。
「ごめん、嘘ついた…」
「ひどい!」
Aちゃん先生の怒った顔、初めて見た。
怒っても可愛いなぁ…。
そんな俺の気持ちをよそに、彼女は掴まれた手を振りほどこうとする。
けれど、男の俺の力に敵うわけがない。
彼女の身体を傷つけるのが目的ではない俺は、その細い手首をそっと離す。
「ちょ、待ってや…
何でいきなり泣くん?」
「………………」
「教えて、……な?」
「……この部屋で、
わたしと、けんじろ先生の間に、
何かが起こったとしたら……
それは、間違い…ですか?」
「は?
……それは、アレや、言葉のあやと言うかな?」
「…………わたしが、ゲス…だからですか?」
「ちゃうわ!
Aちゃん先生、そんなんちゃうで?
何を深読みしとんねん、お前は……」
「だって……」
しばらく止まっていた涙が、また溢れ出す。
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作者名:myu | 作成日時:2019年8月16日 1時