踊る魔法使い ページ2
your-side
「皆さ〜ん。こんにちは〜。
今日もけんじろ先生と一緒に、
楽しく、カッコよくダンスしましょう〜。
先生方も座ってないで、
ほら一緒に踊りますよ〜!!」
軽快な音楽と共に今日のレッスンが始まる。
本格的なダンスミュージックではなくて、幼児向けの可愛らしさの残る音楽。
ここは、あるダンススクールのレッスン室。
今の時間帯はキッズのレッスンの時間で、このレッスン室では週に1度、貸切りでレッスンが行われる。
AA。
わたしは近くにある幼稚園で先生をしている。
週に1度、希望者の園児たちを連れてこのスクールにダンスを習いに来ている。
教えてくださるのは、いつも、この先生。
京都のご出身だそうで、関西弁を交えていつも楽しく教えてくれる人気の先生だ。
子供たちは、親しみを込めて
『けんじろ先生』と呼んでいる。
噂に聞いたところによると、元はすごいダンサーだったらしい。
ロビーに飾ってある、いろんな生徒さんたちのトロフィーや賞状に混じって、一段と大きい優勝トロフィーにはけんじろ先生の名前が刻まれている。
ダンスに疎いわたしには、どんな有名な大会なのかすら想像できないけれど、どんなことでも一番になれるのは、本当にすごいことだと思う。
『わたしは一番なんてとったことないな……』
そんな事を考えていたら、けんじろ先生から声がかかった。
「先生方も座ってないで、
ほら一緒に踊りますよ〜!!」
『……はぁ………
今日も呼びかけられた……』
仕方なくわたしは立ち上がる。
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作者名:myu | 作成日時:2019年8月16日 1時